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2日と3日は避けて!年末年始の大渋滞は去年より悪化

NEXCO東日本渋滞予報士に聞く!
2日と3日は避けて!年末年始の大渋滞は去年より悪化

渋滞予報士の小宮奈保子氏

今年の年末年始は12月28日~1月5日までの9日間の休みを取得する人も多く、帰省に加えレジャーなどで高速道路を使う機会も増加する。高速道路各社は年末年始の渋滞予測を発表し、回避を呼び掛けている。
 NEXCO東日本の渋滞予報士である小宮奈保子氏に、年末年始の渋滞予測と回避のポイント、さらにAIを用いた渋滞予報について伺った。

―年末年始の傾向を教えてください。
 2019年12月27日~2020年1月5日で予測を出していますが、お正月の三が日と土日が連続した曜日配列になっているので、交通集中による渋滞回数は増加する見込みです。関東支社管轄内の10km以上の渋滞予測回数は上下線で57回です。昨年の事故原因の渋滞を除いた回数は49回でした。
 休日の続き方によって渋滞も増加します。昨年は1月4日が金曜日でしたので出勤する方も多くその後の土日もあまり混まなかったのですが、今回は長くお休みが取れるので利用者の動きも多様化するとみています。

―渋滞が発生しやすい日にちは。
 1月2日は「渋滞の特異日」です。普段渋滞は上下線どちらかで発生することが多いのですが、毎年上下線で渋滞が多く発生する珍しい日となります。Uターンラッシュや初売り初詣などで車移動が増加することが要因です。
 また、上り方面は1月3日も激しい渋滞が発生する予測です。1月2日と3日を避けて移動することをおすすめします。

―長い渋滞の発生が見込まれる場所は。
 上りでは関越道高坂SA付近、東北道加須IC付近でそれぞれ1月2日は最大30km、3日は最大35kmが予想されます。下りは京葉道路貝塚IC付近で1月2日に最大20kmが予想されています。そのほかアクアラインでも年末年始には混雑が見られます。昨年は木更津のアウトレットが増床し混雑しました。
 また台風19号による災害復旧工事を行っている上信越道(碓氷軽井沢~佐久)でも渋滞が見込まれます。

高速道路各社の特に長い渋滞発生予測

―どうしても1月2日、3日の移動を避けられない場合は。
 出発時間の変更をご検討ください。上り方面は午前中~お昼にかけて、下り方面では夕方~夜は渋滞回数が比較的少ないです。

―一部区間でAIによる渋滞予知サービスを行っています。
 NTTドコモの人口統計データやAI技術と当社のデータや知見を組み合わせ「AI渋滞予知」を実施しています。当日お昼時点の人口統計データから、14時以降30分ごとの所要時間や交通渋滞を予測するものです。2017年より東京湾アクアライン上り線で実証をしていますが、12月20日より関越道上り線沼田IC~練馬ICでも取組みを開始しました。ここは利用者アンケートで展開してほしい路線として最も多く選ばれた区間です。

―この区間の特徴は。
 まず126kmという長距離、広範囲であり、他路線との接続も多い線です。また季節や気候による目的地の変化があります。夏は避暑地として有名な軽井沢に人が集中しますが、冬はスキー場のある湯沢や沼田・水上エリアに集まります。

―季節によって渋滞傾向が異なるのですね。
 AIは「この場所に人が増えると、交通にこういった影響が出る」というパターンを勉強し予知を出しています。その傾向が結果的に季節によって変わっているという状況です。例えば冬であっても、雪が降らず午前中の段階でスキー場に人が集まらなかった場合は、混雑状況も変わってきます。

―AI渋滞予知をうまく活用するには。
 利用区間を選ぶと、当日の14時以降の各時間帯の予測所要時間と、予測交通需要(走りたい車の数)がグラフで表示されます。出発時間を決める際の参考にしていただきたいのですが、ポイントとしては混雑が予測される時間より後の時間に利用することです。混雑の前の時間だとすでに混み始めている場合があります。

―渋滞を引き起こさないためには運転中の心がけが大事だと呼びかけています。
 渋滞が発生しやすい場所の約7割がサグ(※)や上り坂です。気づかないほどわずかな傾斜なので、無意識のうちに速度低下を引き起こしてしまいます。速度低下しやすい場所には標識を設置していますので、ぜひ気を付けてください。
 また、混雑してくると追い越し車線に車両が集中することでも渋滞が発生します。「渋滞予防のため 左車線キープ」という標識を設置した実験を行ったところ、非実験日に比べ追い越し車線の走行が6%減少し、渋滞時間は1.5時間、最大渋滞長さは12km減少しました。「少しでも早く進みたい」という心理から追い越し車線へと向かってしまいがちなのですが、この現象を知って「キープレフト」を心掛けていただきたいです。
 普段から車間距離を適切に取ることも重要です。何もない場所では距離がわかりにくいので、「車間時間」をおすすめします。目印を前方車両が通過してから自車が通過するまでの時間で距離を測定するやり方で、通常時は4秒、混雑時は2秒を目安にしてください。

―渋滞にはまってしまったら、どうしたらよいでしょう。
 高速道路の拡充により、交通状況に応じて複数のルートが選択できるようになってきました。最新の交通状況をチェックしルートの検討をしてみてはいかがでしょう。
お盆時期に高崎ICから川口ICへ向かう3つのルートで所要時間を比べる実験を行いました。すると一番所要時間が短かったのが、走行距離の長い北関東道経由のルートでした。まさに「急がば回れ」ですね。

※ 下り坂から上り坂に変わる凹部分
NEXCO東日本関東支社道路管制センター
関東支社道路管制センターは、1都7県、約1400㎞の管制業務を行っている。平成28年にリニューアルし、道路状況をリアルタイムに表示する大型ディスプレイを設置した。時間帯によって変動するが、約20名体制で管制業務を行っている。パトロールカーの巡回や非常電話からの通報、カメラ設備の映像などにより道路情報を収集。道路情報版、ラジオ、ウェブサイトなどへ情報を提供している。
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
同社初の女性渋滞予報士の小宮さんにお話を伺いました。渋滞は人間の心理が引き起こす部分も多く興味深かったです。渋滞防止の標識の文言も、短いながらもしっかり訴求するように研究しているとのことでした。

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