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日産・ルノー・三菱自の3社連合、「開発統合」は是々非々で

共通プラットフォームには否定的、先端技術は一緒に
日産・ルノー・三菱自の3社連合、「開発統合」は是々非々で

左から日産の内田社長、ルノーのスナール会長、三菱自の加藤CEO

 

日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合は研究開発分野での共同事業戦略を転換する。同分野で計画していた3社の機能統合はむしろ非効率が目立ってきたため凍結する一方、「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」など先端領域で協業を深める。各ブランドなどの特徴は生かしつつ、3社で研究開発の効率化を図る。1日付で日産の新体制が発足したことを契機に、今後、共同事業でも新機軸を打ち出す。

 

3社連合はトップを務めたカルロス・ゴーン被告が主導し、規模拡大や組織スリム化による効率化を目的に機能統合を進めてきた。14年には日産とルノーが研究開発、生産技術・物流、購買、人事の4分野を統合し、18年にはアフターセールスなどの分野を追加した。三菱自も購買などの分野を統合し、19年度には研究開発分野に参画する計画だった。

 

しかし同分野の機能統合は効果が限定的で事実上の凍結状態にある。商品企画は3社それぞれが担っており、開発で一体化を図っても意見調整が難航するケースが目立つ。例えば三菱自は小型スポーツ多目的車(SUV)「RVR」の次期モデルに日産とルノーの共通プラットフォームを採用する予定だったが、見直しを進め1―2年開発が遅延している。最終的に三菱自の独自プラットフォームを採用する可能性もある。

 

一方、3社連合でCASEなど先端領域の共同開発は強化する方針。3社連合関係者によると「先端領域では協業強化の方向で意見がまとまっている」という。今後は1車種ごとに共同開発のメリットを精査し協業に取り組むと同時に、CASE分野では幅広く協力の機会を探る方向だ。

日刊工業新聞2019年12月2日

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