ファミマが「時短営業」容認、社長の思いは?

沢田ファミマ社長

ファミリーマートは14日、フランチャイズ(FC)加盟店オーナーが希望すれば営業時間を短縮できる時短営業を原則認めると発表した。対象は約1万5000のほぼ全店舗で、2020年3月から実施する。コンビニ加盟店では人手不足で24時間営業が困難になっている。人件費の高騰で収益が悪化している店舗が多く、加盟店オーナーの実情に対応する。また本部コスト削減のため20年2月に全社員約1割の800人の希望退職を募る。

都内で会見した沢田貴司ファミマ社長は「加盟店ファーストであり、加盟店の意向に我々が合わせていく」と説明。今後、時短営業の実施店が増えて本部利益が減少することについても「加盟店の健全経営が1番大事で、本部は経営努力で安定的に収益を上げていく」と加盟店に寄り添う姿勢を示した。

時短営業希望の加盟店は本部と協議をした上で、23時から翌朝7時までの間で、毎日か日曜日のみから選べる。24時間営業の店に対しては、月額10万円の支援金を12万円に増額し、週1日の時短店にも日割りで支給する。商品の廃棄ロスにかかる本部負担も増やすことなどで、加盟店1店あたり平均で年間約70万円の収益改善となる。一方、本部による加盟店支援金額は年間100億円超となる。

店舗数が約2万1000店のセブン−イレブン・ジャパンは約280店で時短実験を実施。11月から8店舗で時短営業を始めた。本部が制定したガイドラインでは「深夜休業をするか否かは最終的にオーナーの判断に委ねる」とするが、本部と加盟店の合意が必要だ。

約1万4000店のローソンは時短営業契約を導入済みで、本部と加盟店が覚書を交わせば時短営業は可能。現在118店舗が時短営業をしている。

日刊工業新聞2019年11月15日

沢田貴司社長インタビュー

―24時間営業問題を発端にコンビニ業界に逆風が吹いています。
 「24時間問題だけでなく、コンビニが今日置かれている状況を正しく把握する必要がある。百貨店などが隆盛後に破綻や統合と変遷してきた。6万店を目前にコンビニも同じ道をたどっている。他の業種の小売業は直営店だったから整理統合できた。コンビニの整理は加盟店に傷がつく。一方で、日本の小売業は大転換期を迎えており、本当に変われと言われていると思う」

―まず何から着手しますか。
 「大事なのは、加盟店が収益を上げられるようにすること。個店によって抱える課題は異なる。それぞれの個店に向き合い課題を着実に解決する」

―加盟店を指導するスーパーバイザー(SV)や本部社員にも変革を求めています。
 「私自身が加盟店オーナーやスタッフたち200人以上とLINE(ライン)でつながっている。SVを経由せず、直接、苦情や要望を伝えてくる方も多い。この直訴を、組織を無視した越権行為と言ってしまうのは、あるべき論。あるべきことが機能していないから、加盟店から悲鳴が届くわけで、その声を聞いて解決することこそが全て。社内経由、直訴と両方あって良い」

「契約などルールを重視しすぎるとルールに頼り、考えなくなる。社員には『そのルールは正しいのか疑え。安住することなく、ぶっ壊せ』と言っている。私が加盟店でオーナーの話を聞いている周りに傍聴席を作り、そこにSVら責任者を置く会を、毎月実施する。オーナーから問題提起されたのに責任者が動けていない場合は、注意もするし、その場で対応させている。今、本部が一番ばかになり、ぼけている。現場は待ったなしだ。私自身も安住せず、常に意識して動いている」

―6月に始めた時短営業実験の状況は。
 「想像以上に悪い数字が出ている。夜間営業をやめると顧客は離れ、競合店に取られる結果が露骨に出ている。納品時間の変更は逆にスタッフが集まらず、コストがアップした店もある。十分に検証して仕組みを作っていく」

―完全無人店舗を目指しますか。
 「トライしたい。横浜市のパナソニックとの実験店もそうだし、ほかのメーカーともロボットを使った販売などで共同研究している」

【記者の目】
 社長のラインに届いた加盟店オーナーからの切実な要望を見た。オーナーの意をくみ取って、即、指示が飛ぶ。指示にのっとって動く社員に緊張が走る。もう良い方向に変わるしかないという、真剣さの表れだろう。本部の変革で、多くの加盟店が納得してコンビニ運営できるようになれば、ファミリーマートの価値は一段上がる。
(文・丸山美和)

日刊工業新聞2019年7月3日

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