「ダフ屋」「高額転売」…チケット二次流通の負のイメージは脱却できるか

チケットストリートが一石

 興行チケットの売買仲介サイトを運営するチケットストリート(東京都品川区)は、市場イメージの健全化に力を入れる。8月末にプロ野球パ・リーグ3球団と提携し「公認」のお墨付きを得た。“ダフ屋”や高額転売など負の印象が根強いものの、チケット流通の活性化は国内エンターテインメント産業の発展につながる。市場確立へ、興行主・利用者の安心感醸成を目指す。(取材・鈴木岳志)

大きなプラス


 会社と同名のサイトを運営する西山圭社長は「興行主にとって我々は敵ではない。チケットリセール(2次流通)は興行主と協力して、売り上げをいっしょに増やしていくパートナーだ」と訴える。

 言葉だけでなく行動で示す意味で、8月末のパ・リーグ3球団との提携は大きい。球団公認で主催試合の取引仲介を8月30日に開始。その後約1カ月間の実績として2500枚超の取引があった。利用者へのアンケート結果は全体の92%が取引に満足と答えたという。「『(1次流通で)手に入れられなかったけど球団公認だったので買いました』などの声があった」(西山社長)と上々の滑り出しとなった。

 チケットストリートは、各球団に対して取引に関する各種データを提供する。球団側はそのデータを参考に、次シーズンの価格設定や種類拡充などのチケット戦略を練られる。結果としてチケット収入の増加につながれば、球団経営に大きなプラスとなる。

 一方で、高額転売の悪いイメージ払拭(ふっしょく)は道半ばだ。6月にチケット不正転売禁止法が施行され、リセール市場への誤解が広まってしまった面はある。「転売全部や定価以上の転売が禁止されたようなイメージを持つ人たちが一定数いる」と西山社長は嘆く。実際の禁止対象は“業として”行う定価以上の転売のみで、非継続的な個人間の取引は規制していない。

業と個人


 業と個人の線引きが本当にできるのかとの指摘は少なくない。同社はサイトの取引をモニタリングしており、基準を設けて不審な出品について注意喚起や利用制限、出品削除などの対策を講じている。「まだ人工知能(AI)は導入できていないが、自動検知システムで日々チェックしている」(西山社長)。

他に、チケットの高額転売につながりかねない自由な出品価格設定に対する批判の声も聞かれる。ただ、西山社長は「結果として定価以上になるのは需要と供給の関係で仕方がない」と市場原理に委ねる考えだ。逆に定価で縛ると、出品数が減って正規の市場が活性化せずに“アンダーグラウンド”な市場へチケットが流れる恐れがあるのは確かだ。

同社は11年設立で、チケット取引の仲介手数料が収益の柱。まだまだライブ・コンサートを含めた興行主のリセールへの理解度は高くない。社員18人のベンチャー企業が日本のエンターテインメント業界へ一石を投じる。

日刊工業新聞2019年10月31日

  

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