停滞の格安スマホ「eSIM」で成長なるか

総務省、携帯大手に開放要求

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eSIMはM2M機器やスマートフォンなどに組み込まれている(ドコモ製品)
 総務省は携帯電話大手に対し、契約者情報などが記録されたSIMカードをスマートフォンなどの通信端末に直接組み込む「eSIM」の機能を、格安スマートフォン事業者に開放するよう求める。消費者の利便性を高めながら国内での需要を活性化する。(取材・大城蕗子)

 eSIMは遠隔地からでも契約情報などを書き換えられ、物理的なSIMカードの交換が不要となる。建設機械などのM2M(機器間通信)機器に活用される。直近では米グーグルの「Pixel(ピクセル)」の最新機種など対応スマホも増加。ただNTTドコモなどの携帯大手は、セキュリティーなどの問題からスマホ1台で使えるeSIMサービスを提供していないため、国内での普及は道半ばだ。

 携帯大手以外にはインターネットイニシアティブ(IIJ)がNTTドコモと、SIMにひもづいたユーザー情報を管理できる加入者管理機能で連携。SIMカードの発行や、eSIMをはじめとした柔軟なサービス提供を可能とした。7月にはeSIM対応の個人向けモバイルサービスを開始。データ通信のみの対応だが、ユーザーは手軽に通信キャリアを切り替えられる。

 同サービスを2回線目として利用すれば、毎月のデータ容量が足りなくなった際、IIJのeSIMに切り替えられる。ドコモはIIJのほか複数事業者から加入者管理機能連携の申し込みを承諾し順次提供予定という。

 現状は加入者管理機能も持つには多大な投資が必要で、同機能を持つ携帯大手との連携が不可欠。このため総務省は、携帯大手と格安スマホ事業者との「公正競争の促進および利用者利便向上の観点から、適切な機能開放について検討を行うことが必要」と指摘。携帯大手に対し、端末のSIMカードを抜き挿ししなくてもSIMに書かれた契約情報を遠隔で書き換えられる機能を、格安スマホ事業者に開放するよう求めた。

 実現すれば、格安スマホ事業者がコネクテッドカー(つながる車)やウエアラブル端末など新領域へ進出しやすくなる。契約者数の伸びが鈍化傾向の格安スマホ業界で、新たな成長の起爆剤となる可能性がある。

日刊工業新聞2019年10月28日

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