「普及価格帯の市場は縮小」で時計各社の狙い目は?

2021年度までの新中期経営計画が出揃う

 時計3社の2021年度までの新中期経営計画が出そろった。いずれも主力製品や新領域に積極的に投資する方針。セイコーホールディングス(HD)は、19年度に前年度比2・3倍となる120億円の設備投資を計画。高級価格帯・普及価格帯ともに海外展開を加速する。カシオ計算機は人気モデルとスマートウオッチを基点に「G―SHOCK」ブランドを強化。シチズン時計はスマートウオッチ領域に本格参入する。

主力商品伸びる


 18年度連結決算はシチズンを除く2社が時計事業で前年度比増収となった。セイコーは米国を中心に「グランドセイコー」やスポーツウオッチ「プロスペックス」が、カシオは国内外でG―SHOCKのフルメタルモデルがけん引した。シチズンはムーブメント(駆動装置)の減収が響き、同事業の営業利益が同23・1%減。完成品の販売が回復し、19年度は営業増益に転じる見通し。

 21年度に向け、セイコーの服部真二会長は「『攻め』の期間。必ず勝ちに結びつける」と意気込む。米国、アジアを中心に高価格帯の販売強化を続けるほか、普及価格帯では海外で知名度の高い「5(ファイブ)スポーツ」のブランドのテコ入れで市場への浸透を進める。

医療やIoTに


 カシオはG―SHOCKブランドの強化と新規事業への投資が新中計のテーマ。フルメタルモデルを拡充するほか、21年をめどにスマートウオッチ「Gスマート」を投入。フルメタルモデルで360億円、Gスマートで100億円の売り上げ達成を目指す。スポーツや医療など新規事業の確立にも力を注ぐ。

 シチズンはIoT(モノのインターネット)基盤「Riiiver(リィイバー)」を活用し、市場拡大を見込むスマートウオッチ領域に本格的に参入する。19年度に同3・4%増となる245億円の設備投資を計画。製品領域の拡大に加え、デジタルマーケティングにも力を注ぐ。受注の減少傾向が見られる工作機械は、本格的な回復が20年度以降になると予想する。

縮む普及価格帯


 今後の時計の市場動向について、シチズンの古川敏之取締役は「地域により強弱は表れるが、全体では完成品市場が緩やかに伸びる」と見る。

 セイコーウオッチの高橋修司社長は「17―18年で穏やかな回復基調に入ったように見えるが普及価格帯の縮小は進行中。この傾向が常態化する」との見方を示す。

                 

日刊工業新聞2019年5月20日

  

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