サービスロボット事業の成功を左右する「ロボティックCoE」とは

 黎明(れいめい)期に突入したサービスロボットビジネスでは、「当事者意識」が重要だ。競争激しい昨今のビジネス環境では生産効率を高めることは競争に勝つための不可欠条件だ。デザイン力が高くても100万円稼ぐのに10人が1年間フルタイムで従事するとなったらどうか。ビジネスは立ち行かないだろう。生産効率の高さがビジネスの不可欠条件なのは明白なのだ。そして、その不可欠条件の切り札はサービスロボットだ。

導入後の定着化


 一方で、この不可欠条件であるサービスロボットの導入や運用を他人任せにする企業が多い。もちろんロボット開発自体はベンダーでよい。しかし導入・運用・定着化をIT部門やベンダーに任せっぱなしではならない。導入に際しては経営陣が将来像や課題を語り、導入後は経営陣自ら積極的に定着化を押し進めるべきだ。それだけの価値がある。

 最初は「使えない」と思っても頭で考え、最適な使い道を見つけ出し、改善に改善を重ねることで、大きな競争力となる。アマゾンが一朝一夕で現在のロボット物流を実現していると思ったら大間違いだ。何年もかけて改善を続けた結果である。導入時はベンダーに任せっぱなし、導入後も放っておいては、使えないままであるのは当たり前ということだ。

専門集団を配置


 「ロボティックCoE(センターオブエクセレンス)」という言葉がある。端的に説明すると「ビジネスに資するロボット活用を担保するチーム」を指した言葉だ。経営陣のビジネスに対する考えを鑑みた上で適切なロボットを導入し、適切に定着させ、適切に運用・改善していくのを役目とする専門集団である。つまり経営陣・IT部門・業務部門をつなげる組織だ。

 IT部門は場合によって「ビジネスを妨害してでもITを優先」する。ロボティックCoEは違う。ビジネス最優先とし、ビジネス強化につながらないロボット活用はしない。逆を言えば導入したロボットは必ずビジネス強化につながるように運用され改善をしていく。

 全ロボットユーザー企業はこれを組織内に配置するべきだ。これにより経営陣の意図を汲み、当事者意識を持ったロボット活用を推し進めることができる。IT部門にロボット導入を任せると「ビジネスよりも導入を優先」となるだろう。「ビジネスは自分の責任ではない」ということだ。導入を業務部門に任せたらどうか。ロボット知識が少なすぎて、導入や改善をベンダー任せにするはずだ。

 ロボティックCoEを入れることで、この状況を改める。ロボットユーザー企業にはこの考えを身につけ、サービスロボットをうまく活用し、圧倒的競争力を付けてほしい。

文=伊藤デイビッド拓史<ロボットビジネス支援機構<ロビジー>専務理事。
デロイトトーマツコンサルティング、企業の経営補佐などを経て現職。外食産業の自動化予想、各業界のロボット活用研究などロボットビジネスに資する研究・講演を手がける。

日刊工業新聞2019年10月11日

  

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