小型車の命運を握る“東北のトヨタ”、「シエンタ」の改善がスゴイ!

1日当たりドアを300回開ける作業をゼロに

 トヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)は、トヨタ自動車の国内第3の拠点として小型車の生産を手がけている。トヨタからの受託生産にとどまらず、開発から生産まで一貫して手がけるのが強みだ。競争の激しい小型車の収益改善に向けて、モノづくり力を日々進化させている。1日にはトヨタの宮内一公執行役員が社長に就任。宮内社長のかじ取りのもと、新たな船出を迎えた。

 TMEJは2012年に関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が統合して設立された。中部、九州に次ぐトヨタの国内拠点として小型車「ヴィッツ」やミニバン「シエンタ」などを生産している。

 小型車には安全性や軽快な走りと安価な価格設定の両立が求められる。TMEJでは製造現場の“カイゼン”を積み重ねることで、競争力に磨きをかけてきた。東北の地を基盤として「世界一魅力あるコンパクト車をつくる」(宮内社長)考えだ。

 改善活動を支えるのが、テコの原理や重力など自然エネルギーを利用した「からくり」だ。製造現場の全員を対象としたからくりの認定制度などで、からくりの導入を推進。改善項目は9月時点で139件に上る。高価な設備を導入しにくい小型車の生産ラインだからこそ、知恵と工夫で生産効率を高める土壌を育んできた。

 例えばシエンタの生産工程では、部品取り付けのためにバックドアを開ける作業がある。ここでは車体とドアの間に氷のうを差し込み、空気で膨らますことでドアが自動で開く仕組みを採用。担当者が1日当たりドアを300回開ける作業をゼロにした。

 自動運転や電動化など、100年に一度の大変革期を迎えた自動車業界。それでも宮内社長は「新技術がいかに進歩・普及しても、モノづくりというリアルな世界は決してなくならない」と言い切る。地道に鍛え上げてきた現場力を武器に、新たな時代を駆け抜ける。
(名古屋編集委員・長塚崇寛)

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日刊工業新聞2019年10月11日

  

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