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人手のかかるソーセージ作り、「シャウエッセン」の大量生産がなぜ可能に?

日本ハムファクトリーが思い切った自動化
人手のかかるソーセージ作り、「シャウエッセン」の大量生産がなぜ可能に?

パレタイザー(自動積み付け機)が段ボールを商品ごとにパレットに積み上げる

 日本ハム子会社の日本ハムファクトリー(静岡県吉田町)は、主力商品「シャウエッセン」などハム・ソーセージを製造する。日本ハム創業の地である徳島県に建設された徳島工場(徳島県石井町)は、これまで6回にわたる増改築を重ね生産量を引き上げてきた。主に関西や中四国地区への供給を担い、160以上のアイテムを製造。年間生産能力は1万5000トンだ。

需要増でライン増設


 近年、商品力を強化したシャウエッセンの需要が伸びていることなどを背景に、2018年からソーセージの製造ラインを順次増設した。既存のソーセージ製造ラインは人手による作業が多く、大量生産に不向きだった。新たな製造ラインや梱包(こんぽう)作業で自動化を進めることでシャウエッセンのような大量生産する商品の取り扱いが可能になった。

 自動化のメーンは、最終工程の梱包作業だ。配送用の段ボールを組み立て、箱に商品を詰め、パレットに積み上げる一連の全工程をロボット導入で自動化した。全3ラインを設け、オペレーターがラインの管理をしている。

 一方、製造工程では、原料の豚肉などをミキサーへ投入する工程や羊腸へ肉を詰める一部の充填工程、加熱・冷却するための棚への移動などを新設備で自動化。これらの設備を18年夏ごろから導入し、新旧の製造ラインが併設している。全工程で44人必要だった作業員が28人で回るようになった。

人件費の5割占めるのは


 直井剛工場長は「検品に人手がかかっており、人件費の約5割を占める」と話す。豚毛や軟骨などはカメラやX線での検品が難しく、人の目に頼らざるを得ないという。「各工程での検品をロボット化することが課題」(直井工場長)とし、人工知能(AI)やカメラによる異物除去などを他工場で検証している。ただ徳島工場は多品種を扱うため、自動化しづらい側面もある。「肉のスジや軟骨の除去作業以外はロボット化が可能」(同)とさらなる自動化を目指す。(大阪・新庄悠)
日刊工業新聞2019年10月8日

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