中国が引き金を引く電池部材の淘汰、それでも旭化成の首位揺るがず

セパレーターの技術優位「長期的には悪くない」

 CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に代表される自動車産業の大変革は、材料や部品にも変化を促す。旭化成の代表例は、電動車向けに需要の増えるリチウムイオン電池用セパレーター(絶縁材)だ。同社は製造方式の異なる湿式系「ハイポア」と、米ポリポアが生産する乾式系製品を展開する。

 スペシャルティソリューション(SS)事業本部の福田明上席理事は「2021年までに年産15億5000万平方メートルとする能力増強を決定しているが、22年以降の顧客からの要求には足りない」と語る。

 ハイポア原料のポリエチレン「サンファイン」を生産する基盤マテリアル事業本部長の小野善広常務執行役員は「ポリエチレンは拡大事業。セパレーターを支える品質にこだわる」と語る。小堀秀毅社長は5月の中期経営計画の発表会見で、「将来、年産30億平方メートルまでやる覚悟はある」と語り、グループをあげて取り組む。

 中国では電気自動車(EV)への補助金削減が引き金となり、電池材料の淘汰(とうた)が予想される。厳しい競争環境について、福田上席理事は「当社にとって長期的には悪くない」と話す。高性能な電池ほど、技術的に差別化されたセパレーターの引き合いが増えるからだ。

 技術的な優位性を保つためにも、山岸秀之常務執行役員SS事業本部長は「首位メーカーでないとダメ」とポジションの堅持に目を光らせる。首位だからこそ他の電池主要部材メーカーから組み合わせ評価などの依頼が多く、常に最新技術動向を把握できる。

 自動運転が普及すれば、車は居住空間としての価値が高まる。電子部品事業子会社の旭化成エレクトロニクス(東京都千代田区)の本多英司社長は、「二酸化炭素(CO2)を検知するセンサーは住宅と車で時間差なく、需要が立ち上がるのではないか」とにらむ。空気の質をモニタリングし、空調の運転を最適化する動きがある。

 狭い車内空間に対応するため、センサーの小型化と低消費電力化の開発を進めている。「小型品の発売時期は需要見合いだが、当社がもっとも早くニーズに合わせて提供できる」(本多社長)と自信を示す。中国では車をカラオケボックスに使ったり、レンタカーで本を読んだりする人もいるといい、車に求められる価値は変わり始めている。

 旭化成は25年度にモビリティー分野の売上高を18年度比2・2倍の5500億円に引き上げる。内装材向け高級人工皮革「ラムース」や低燃費タイヤ用合成ゴムの溶液重合スチレンブタジエンゴムなど多様な製品で大変革のチャンスをつかむ。

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日刊工業新聞2019年9月13日

  

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