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幼稚園の需要も、印刷できる吸音パネルの秘密

設置場所に合わせデザイン
幼稚園の需要も、印刷できる吸音パネルの秘密

幼稚園やホテル、医療施設などに提案する

 野原ホールディングス(東京都新宿区、野原弘輔社長、03・3357・2231)は、声の余分な響きを吸収する吸音パネル「サウンドマイルド」に、イラストなどを自由に印刷できる「ArT」を追加した。塩化ビニール樹脂のため、きれいに印刷可能だ。設置場所に合わせてデザインをカスタマイズでき、意匠性の向上にもつながる。オフィス空間にとどまらず、幼稚園や保育所、ホテル、医療施設などに向けて提案を進める。

 一般的にポリエステルなどの布地が多い中で、サウンドマイルドのパネル表面には、3Mのダイノック吸音フィルムを使用する。デザインの印刷は、グループ会社が手がけるため、色調整なども柔軟に対応できるのが特徴だ。音の吸収を阻害しないために接着剤を使わず、パネル裏には吸音効果の高いグラスウールなど断熱素材を用いる。取り付けも簡単だ。

サウンドマイルドは、500ヘルツを中心とした中音域の音を吸収し、個室空間での声の反響を少なくする。また500ヘルツ以上の音の残響時間を約半分に減少できるため、余計な声の響きは減って声が聞き取りやすくなる。

 例えば35立方メートルの会議室の場合、最適な残響時間は0・45秒位が目安とされる。0・45秒に近づけるには450ミリ×450ミリメートルの大きさのサウンドマイルドを24枚設置するのが望ましい。サウンドマイルドがない場合は500ヘルツの残響時間は1・43秒となる。

 サウンドマイルドには、ArT以外にシンプルなデザインの標準タイプや、人工観葉植物と組み合わせたフェイクグリーンの3種類をそろえる。2012年の発売から徐々に売り上げが伸びている。CSカンパニー企画開発部の永楽秀樹担当課長は「音の響く会議室だけでなく、幼稚園など音に対する需要が増えてきている」と分析する。オフィスの働き方改革による需要も出ている。(文=高島里沙)
日刊工業新聞2019年9月17日

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