自動運転の車内を快適空間に!素材メーカー「吸音」競う

三菱ケミカルはアクリル繊維を吸音材、旭化成は中空ビーズ状の硬質吸音発泡品

 三菱ケミカルや旭化成などの素材各社は、より静かな車内空間をつくる素材を相次ぎ開発した。三菱ケミカルは繊維径3マイクロメートルのアクリル繊維を吸音材として提案する。旭化成は耐熱性の高い中空ビーズ状の硬質吸音発泡品を開発した。ハイブリッド車など静かな車の増加に加え、自動運転が普及すれば車内空間の快適性がさらに重視される。吸音素材の需要が広がりそうだ。

 三菱ケミカルが吸音材として提案する超極細繊維「XAI(サイ)」は、一般的な吸音材向け繊維の10分の1以下の細さ。フェルトなどの従来素材に10%混合することで、従来素材のみに比べ約半分の重さで同等の吸音性能を発揮できる。サイの混合比率や使用量を増やせば、さらに吸音性は高まる。特に1000ヘルツ以下の低周波領域の吸音性が高く、エンジン音やロードノイズの抑制が期待できる。

 現在の主な用途はフィルター素材で、自動車ではフードやフロアアンダーカバーなどでの採用を目指す。

 旭化成は、直径2ミリ―3ミリメートルのポリアミド製中空ビーズを発泡させた素材を開発した。硬質で高耐熱性という特徴を生かし、エンジンルーム周辺部材として提案する。自社の不織布「プレシゼ」と組み合わせた厚さ2センチメートル弱の部材は、同程度の厚さのメラミン発泡品に比べ1000ヘルツでの吸音性が2倍となった。音の透過を防ぐだけでなく、容器状に加工して音の発生源を入れると容器内で音の反射も抑える。19年度下期にもサンプル供給を始めたい考え。

旭化成の硬質吸音発泡品


 このほかに、東レがナノファイバー不織布を吸音材として提案。三井化学は紙おむつ向けに培った不織布の技術を生かし、自動車の吸音材など産業材不織布の開発を強化するための新組織を4月に発足した。また、小型ギアなどの金属から摺動(しゅうどう)性の高いプラスチックへの置き換えは、軽量化に加え、異音の低減にもつながる。

 自動運転などの新技術が搭載されれば、車内空間などの領域もニーズが変わる。素材各社は新たなニーズ掘り起こしを狙う。

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日刊工業新聞2019年6月4日(化学・金属・繊維 )

  

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