問われるSDGs活動成果、「影響」測定の基準づくりが動き出した

 企業による持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを評価しようとする動きが出ている。海外では活動が社会に与えた影響(インパクト)を測定する基準づくりが進行中だ。投資家から強い要望があり、上場企業は対応が迫られる。SDGsに貢献すると宣言するだけでなく、具体的な活動の成果が問われようとしている。

実現難しく


 政府関係者がSDGsの進捗(しんちょく)を話し合う国連の「ハイレベル政治フォーラム」が7月、米ニューヨークで開かれた。その場ではビジネス界の議論も熱を帯びていた。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)などが参加する「ワールド・ベンチマーク・アライアンス(WBA)」が、SDGsの評価手法を話し合った。

 WBAは世界的な大企業を横並びで評価する手法を目指すが、実現は難しい。環境貢献なら二酸化炭素(CO2)排出量や廃棄物の削減量で評価できる。しかし社会貢献は評価しづらい。SDGsは貧困や飢餓の撲滅、健康や福祉など広範で、しかも数値化できない目標も多い。

 それでも評価を求める理由について、CSRコンサルティングのクレアン(東京都港区)の冨田洋史マネジャーは「機関投資家が社会的インパクトを比較したがっている」と指摘する。WBA以外にも国際的な金融団体などが評価基準づくりを主導する。

 背景にあるのがESG(環境・社会・企業統治)投資の本格化だ。欧米の機関投資家の間では、環境破壊などで批判されそうな企業を投資先から外す手法「ネガティブ・スクリーニング」が主流だった。いま、社会に好影響を与える企業を選ぶ機関投資家が増えており、インパクトの測定が必要となった。

企業の説明責任


 日本にはSDGs達成への貢献を宣言した企業が多く、投資家からインパクトについて質問を受ける可能性がある。冨田マネジャーは「まずは既存ツールを活用して評価してみよう」と“練習”を薦める。作業によって自社が与える影響を整理できるからだ。国連グローバルコンパクトが評価ツールを公開しており、日本語版もある。

 「今の社会における自社の価値を再定義できる」とも付け加える。SDGsや評価ツールには、社会から企業への要請が反映されている。その要請は創業時とは違うかもしれない。現代の要請に合致した価値を発見できれば、投資家に訴求しやすい。

 ただし、正確さを追求して時間をかけていると負担が大きくなる。数値化が難しい項目は「このくらいのインパクトがあると仮定を置いても構わない」と助言する。正確性よりも「新たな価値に気づく社内的な意味合いが大きい」と強調する。これは中小企業にも言えそうだ。

 2015年9月の国連総会でSDGsが採択されて4年になる。うわべだけ取り繕った“SDGsウォッシュ”が批判されるようになった。活動を始めるのはもちろんだが、説明責任のためにもインパクトを評価しておく必要がありそうだ。

  

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