創業130年で初、日生の女性取締役が語るキャリアを分ける差
山内千鶴さんインタビュー
日本生命保険は7月の定時総代会で、山内千鶴氏が取締役に就任し、創業130年の歴史で初めての女性取締役となった。同社は“女性活躍”を経営戦略に掲げており、管理職への積極的な登用も進めている。今後に向けても大きな弾みとなりそうだ。(取材・増重直樹)
日本生命は約5万人の営業職員を中心に従業員の約9割を女性が占める。山内氏は1999年に業務職から総合職にコース変更するなど多様なキャリアを歩んだ。「役員や管理職になりたがる女性が少ない中で背中を押す役割がある」と話す。
人材育成は期待すること、機会を与えること、鍛えることの三つの「き」が重要だが、山内常務は「決めつけないこと」を加える。出産などライフイベントを考慮しすぎた仕事の振り方や夜遅くなる業務への過度な配慮が女性の業務の幅を狭め経験の機会を奪う。結果、自身の過小評価につながり昇進へ消極的になると分析。自信を持たせることが管理職には必要だとしている。
山内氏に女性活躍のヒントや担当する国連の持続可能な開発目標(SDGs)への姿勢を聞いた。
―社内のロールモデルの有無がキャリア形成に影響を及ぼすことが少なくありません。
「女性のロールモデルは女性である必要はない。男性や社外の人からでも考え方が学べ乗り越えられる。そのまま自分に適用できる完璧な人はいないのでロールモデルのいいとこ取りを勧める」
―キャリアを分ける差は何でしょうか。
「女性のキャリアは能力よりきっかけの差。いかに良い上司に巡り会えるかだ。一方、直接の上司だけでなくメンターとなる信頼できる上司を作ることも大切。総合職にコース変更時は高校生の子どもがいたが『後輩のために誰かがいばらの道を切り開かなければならない』との言葉で背中を押してもらえた」
―SDGsを進める上で必要な心構えは。
「SDGsをビジネスチャンスと捉えることが重要。両軸で考えなければ乗り遅れる。2030年までの目標だが、その際に中心となる今の30―40代から意見を出してもらい目指す三つの姿に反映した」
―達成のカギは。
「変革こそがSDGsの本質。30年の期限までに達成するためにはどこかでジャンプアップしなければならない。個々の取り組みが17の目標のどこに当てはまるかのアイコンは初級編。相互扶助の精神などで変革を起こしていく」
日本生命は約5万人の営業職員を中心に従業員の約9割を女性が占める。山内氏は1999年に業務職から総合職にコース変更するなど多様なキャリアを歩んだ。「役員や管理職になりたがる女性が少ない中で背中を押す役割がある」と話す。
人材育成は期待すること、機会を与えること、鍛えることの三つの「き」が重要だが、山内常務は「決めつけないこと」を加える。出産などライフイベントを考慮しすぎた仕事の振り方や夜遅くなる業務への過度な配慮が女性の業務の幅を狭め経験の機会を奪う。結果、自身の過小評価につながり昇進へ消極的になると分析。自信を持たせることが管理職には必要だとしている。
インタビュー/取締役常務執行役員・山内千鶴氏
山内氏に女性活躍のヒントや担当する国連の持続可能な開発目標(SDGs)への姿勢を聞いた。
―社内のロールモデルの有無がキャリア形成に影響を及ぼすことが少なくありません。
「女性のロールモデルは女性である必要はない。男性や社外の人からでも考え方が学べ乗り越えられる。そのまま自分に適用できる完璧な人はいないのでロールモデルのいいとこ取りを勧める」
―キャリアを分ける差は何でしょうか。
「女性のキャリアは能力よりきっかけの差。いかに良い上司に巡り会えるかだ。一方、直接の上司だけでなくメンターとなる信頼できる上司を作ることも大切。総合職にコース変更時は高校生の子どもがいたが『後輩のために誰かがいばらの道を切り開かなければならない』との言葉で背中を押してもらえた」
―SDGsを進める上で必要な心構えは。
「SDGsをビジネスチャンスと捉えることが重要。両軸で考えなければ乗り遅れる。2030年までの目標だが、その際に中心となる今の30―40代から意見を出してもらい目指す三つの姿に反映した」
―達成のカギは。
「変革こそがSDGsの本質。30年の期限までに達成するためにはどこかでジャンプアップしなければならない。個々の取り組みが17の目標のどこに当てはまるかのアイコンは初級編。相互扶助の精神などで変革を起こしていく」
日刊工業新聞2019年8月29日(金融・商況)