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陸自が米軍と初のサイバー競技会、実力の差どこまで

陸自が米軍と初のサイバー競技会、実力の差どこまで
陸自が米軍と初のサイバー競技会、実力の差どこまで

陸上自衛隊はここ数年、サイバー教育を強化している(横須賀の通信学校の研修)

 防衛省の陸上自衛隊は22日に、米国陸軍と共同でサイバー競技会を開催する。日米共同のサイバー競技会開催は初めて。サイバー防衛は電磁波や宇宙防衛とともに新領域の重要手段に位置付けられ、同省は対応能力強化を急いでいる。サイバー戦能力で日本の先を行く米国と競技会をすることで現時点の実力を探るとともに、米との関係強化や技能向上を図る狙いだ。

 日本側は陸自の通信学校2チームと、システム通信団システム防護隊2チーム、西部方面システム通信群と東部方面通信群の各1チームの6チームが参加する。米側は陸軍サイバー学校の6チームが参加。競技はインターネット回線を通じ、各チームが普段所属する駐屯地などから参加する「ホームステーションプレー方式」で実施する。

 同競技会は、米ジョージア州オーガスタ市で同時期に開かれる通信関連シンポジウム「テックネット・オーガスタ」の関連行事として開く。テックネットは米軍事通信電子協会の主催で、日本、ドイツ、イスラエルの3カ国がパネル登録している。競技会に参加する米側の6チームは同市内のサイバー学校を会場に、競技に臨む。

 日米合計12チームでデータファイルの動作を解析する「バイナリ解析」やウェブ問題、データベースを不正に操作する手法の一種である「SQL言語のインジェクション」といった競技で得点を競う。同一のサーバーやネットワーク環境下で、与えられたシステムの脆弱(ぜいじゃく)性や問題に関して攻防を行う。競技は日米対抗戦ではないものの、各チームの成績は明瞭に出るため、実際には順位や点数を競うものになる。

 米国はもちろん、ロシアや中国、北朝鮮、イスラエルのサイバー戦能力は日本をしのぐと言われる。順位だけでなく、点数の開きがどの程度か、どの分野が強くどの分野が弱いかなどの点で実力が試される。2020年以降も継続実施したい考えだ。
日刊工業新聞2019年8月19日

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