「大阪・関西万博」成功へ事務総長が示したいこと

2025年日本国際博覧会協会・石毛博行事務総長インタビュー

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万博開催時の夢洲(イメージ)
 2025年に大阪市此花区で開催される国際博覧会「大阪・関西万博」に向け、運営体制が本格的に始動する。官民からなる運営主体の2025年日本国際博覧会協会は、参加国の誘致に必要な博覧会登録申請書の準備に着手した。日本貿易振興機構(ジェトロ)の前理事長も務めた、同協会の石毛博行事務総長に意気込みなどを聞いた。

 ―大阪・関西万博を成功させるカギは。
 「日本は優れた工業化社会として世界で定評がある。持続可能な社会を創るため、日本が考える産業などの未来像を示したい。ただ万博は主催者が考えを決めつける場ではない。他国が『我々のアイデアで魅力的な万博にできる』と思える意欲をかきたてたい。テーマづくりを引っ張ってもらうプロデューサーの人選もしている」

 ―1970年の大阪万博は約6500万人が来場し、大成功でした。
 「大阪万博とはどうしても比べられる。当時は米ソ冷戦時代で、日本は高度成長期。国々が万博で自国を売り込もうとしていた。『人類とは何か』と壮大な問いかけをするプロデューサーもいた。時代は変えられないので、現代の成熟した社会で万博を考えるしかない。魅力的な会場や交通手段を整え、来場する楽しさも訴えたい。エンターテインメント(娯楽)も要素にし、人類の行く末を話し合うお祭りの場になれる。経済的なつながりが強まったアジア諸国も含め、多くの国々に参加を勧めたい」

 ―世界各国から大勢の人々が訪れる万博は、貴重なビッグデータ(大量データ)も集められます。
 「大阪・関西万博でも約2800万人の来場を予定している。大型の産業見本市と比べてもケタ違いに多い。データの扱いは法制度や国際ルールに従う必要があり、簡単ではない。しかし、データをフルに活用して社会に役立てる検討も、重要な課題と考える」

 ―大阪では中小企業を売り込みたい機運も盛り上がっています。
 「中堅・中小やベンチャー、スタートアップは大阪の強み。万博は企業の宣伝の場ではないが、見せ方で工夫できる。大阪万博では展示の仕事や発想の場を得て、食品やテントのメーカー、警備会社などが成長できた。大阪・関西万博でも、企業がこうしたきっかけをつかんでほしい」

25年日本国際博覧会協会事務総長・石毛博行氏

【記者の目/新たな価値観示せるか】
 協会が入居する大阪府咲洲庁舎(大阪市住之江区)の上層階からは、万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)が一望できる。石毛事務総長はそこで指揮を執り、協力相手の国や大阪府・市、経済界などとの調整にも汗をかく。成熟した日本が人類に新たな価値観を示し、共感を得られるか。開幕まで約6年の長い挑戦に注視したい。(文=大阪・田井茂)

日刊工業新聞2019年8月16日

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