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トヨタ系サプライヤー、4ー6月決算は大手と中堅で明暗

大手は開発投資が減益要因に、中堅は中国まだ好調で全社増収
トヨタ系サプライヤー、4ー6月決算は大手と中堅で明暗

トヨタ自動車の豊田章男社長(同社公式ページより)

 トヨタ自動車グループの主要部品メーカー7社の2019年4―6月期連結決算は、愛知製鋼を除く6社が営業減益となった。中国市場の減速や新技術の開発投資が利益を圧迫。中国への依存度で減益幅はまだら模様となった。半面、トヨタ自動車の販売好調を追い風に、豊田自動織機やトヨタ紡織、豊田合成の売上高が第1四半期として過去最高だった。

 デンソーはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)など成長領域への投資が増加、二ケタの営業減益となった。「中国市場の減速は否めない」(松井靖経営役員)としたが、主力取引先であるトヨタの販売好調を受けて「売り上げは期初の計画通り」(同)とした。

 豊田自動織機はトヨタの新型スポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の販売が堅調に推移したことなどを受け、増収を確保した。中国市場について河井康司執行職は「(主力の)フォークリフト販売が減少しているが、影響は限定的」とした。豊田合成はトヨタ向けが好調で増収だったが、採算の良い車種向けの部品が減り、減益となった。

 20年3月期見通しは中国市場の落ち込みを受け、アイシン精機と愛知製鋼は連結業績予想を下方修正した。アイシンは中国を中心に自動変速機の販売台数が大きく下振れるため、営業利益予想を期初から200億円引き下げた。

 一方、中堅部品メーカー5社の2019年4―6月期連結決算は全社が増収だった。国内、中国での生産・販売の好調が主因。一方、営業利益は2社が増益、3社が減益だった。各社は消費増税に伴う駆け込み需要の反動減を想定し、下期の動向を注視している。

 売上高が4―6月期として過去最高だったフタバ産業は国内や欧州を中心にボディー、排気部品や金型、生産設備の販売が伸びた。中央発條も国内や中国で主にシャシーバネの販売を拡大。増収営業増益だった。

 東海理化はスイッチ類や、トヨタなど向けシートベルトなどが伸び売上高は過去最高。しかしメキシコでの生産準備費用など経費増が響き、営業減益だった。

 愛三工業はポンプモジュールや浄化装置の販売が堅調だったが、18年の韓国子会社の労使争議が響いた。ファインシンターはトヨタの「RAV4」向け駆動部品などが伸びたが、人件費や品質管理コストが増えた。

 通期業績予想を修正したのはフタバのみ。好調な業績を受け、営業利益を4月予想比10億円増の95億円、当期利益を同9億円増の73億円と上方修正した。通期の想定為替レートを見直したのは東海理化のみでドル、ユーロそれぞれ5円円高の105円、120円とした。

 一方、大豊工業は、米生産子会社で不適切な会計処理があったことが判明し、19年4―6月期連結決算発表を延期する。発表時期は未定。15―18年の期末棚卸し資産計上で、約5億円が過大計上されている可能性があるという。
                

                 


 
日刊工業新聞2019年7月31日/ 8月1日

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