無料でいす座り放題、自分にぴったりのいすも見つかる博物館

 いすの博物館は文字通り、いすに特化した珍しい博物館だ。時代に合わせてグレーのスチール製から、布張りやカラフルなデザインへと進化を続けるいすの変遷をみることができる。2009年2月に開館し、年間の来場者数は約600人に上る。人間工学を研究する大学生や製造業の技術者、高齢者など訪れる人はさまざまだ。

 博物館は、建物の7―9階の3フロアで構成。一番の見どころは8階の「いすの展示室」だ。歴代36台のいすが壁に沿って展示されている。また鉄道シートや歌舞伎座、プラネタリウムなど公共空間のいすも設置。展示してあるいすには全て座ることができるため、座り心地を体感できる。

 オカムラは航空機を製造する技術者が中心となって創業した会社だ。1951年には初の純国産トルクコンバーターを開発した。1階の出入り口には、前輪駆動オートマチック車「ミカサ」のスポーツモデル「ミカサツーリング」が展示してある。

「ミカサツーリング」

 家具の製造は、板金や溶接の技術を持っていたため、戦後に米駐留軍からスチール家具を受注・量産したところから始まる。いすの展示室で第一号として並ぶのは、米軍規格に合わせて製造した「2201型」だ。そして日本の事務用いすの原点と言われるスチール製のグレーのいすが、布・革張りやカラーになり、デザイン性が豊かになっていく。またパソコンの登場で肘部分を調整できるように進化。2000年代には究極の座り心地をコンセプトに、頭が隠れるほどの高い背もたれも登場する。

 7階は「いすの科学」について学べる空間で、自分の体に合ういすを体験できるシミュレーターや人間工学を元に再現したいすを設置する。左右どちらに体圧がかかりやすいかや、正しい姿勢の位置を把握できる。いすの博物館の田部政宣氏は「体格も皆それぞれなので、座って体感しないと分からない」と話す。実際に座ることで、微妙な角度の違いや正しい座り方を学ぶことができる。

【メモ】▽開館時間=9―17時(土曜、日曜、祝日は休館)▽入場料=無料(事前予約制)▽最寄り駅=東京メトロ銀座・丸ノ内線赤坂見附駅、銀座・南北線溜池山王駅、千代田線国会議事堂前駅など▽住所=東京都千代田区永田町2の13の2▽電話番号=03・3593・6195

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