日産COOがサプライヤー会合で「今年度が底」を強調、各社の反応は?

「建て直しには3―4年は必要ではないか」「スピードは落ちた印象」

 日産自動車は調達戦略などを取引先部品メーカーに説明するサプライヤー会合を横浜市内のホテルでこのほど開いた。6月の株主総会を経て新体制を始動してから初めての開催だったが、業績の建て直しが一番のテーマとなった。参加した大手部品メーカー首脳によると山内康裕日産最高執行責任者(COO)があいさつに立ち、「2019年度を底に回復基調に戻す」と説明し協力を求めた。

 会合には日産の山内COOのほか、軽部博最高財務責任者(CFO)、坂本秀行副社長、星野朝子副社長らが出席した。「そうそうたる幹部が顔をそろえ、危機感は伝わった」と大手部品メーカー首脳は話した。

 日産は前会長カルロス・ゴーン被告の不正を誘発したガバナンス(企業統治)不全を改善したほか、一時は不安定化した提携先の仏ルノーとの関係も小康状態にある。一方、米国事業のつまずきを主要因とする業績不振は深刻で、サプライヤーの一番の関心はその建て直しにある。

 会合では米国事業について、新モデル投入サイクルの短縮などでブランド力回復を図る対応策などを山内COOが説明した。参加した日産幹部は「サプライヤーの支援を最大限に得るため、状況をありのまま説明した」と明かす。

 サプライヤーの評価は分かれた。日産系中堅部品メーカー首脳は「新モデルの販売で勝負するというのは賛成だ」とする一方で、「どのような段取りで増やしていくかが重要。一気に増やされると立ち上げコストが大きな負担になる」と懸念を示した。

 独立系中堅部品メーカー首脳は「最近の会合にはない歯切れの良さで内容も前向きだった」と指摘した。日産系大手部品メーカー首脳は「建て直しには3―4年は必要ではないか。そのくらい米国市場での日産ブランドは毀損している」と述べた。

 ルノーとの連合関係も再び不安定化しかねず、「早く落ち着いてほしい」(日産系中堅部品メーカー首脳)と懸念する声が聞かれた。

 従来は連合の意思決定はゴーン被告一人に左右されたが、新たに三菱自動車を含む3社トップによる合議により決定する体制に移行した。関東の中堅部品メーカー首脳は「スピードは落ちた印象。業界で後手に回りかねない」と懸念を示した。

 日産幹部は「連合が機能するには、各社が強いことが大前提。日産は業績回復が最優先で、現状ではサプライヤーの存在はルノーより上だ」と語った。日産にとっては業績建て直し、ルノーとの関係改善という両面でサプライヤーと一丸となった取り組みの重要度が増している。

日刊工業新聞2019年7月11日

  

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