全国の中小企業に途上国支援の輪が広がっている
JICA事業が浸透
国連の持続可能な開発目標(SDGs)の輪が全国の中小企業に広がっている。国際協力機構(JICA)によると、中小の途上国でのビジネスを支援する同機構の事業に関し、開始当初は採択企業が関東中心だったのに対し、近年は関西以西で関東を上回るまで普及してきた。JICAは途上国の課題をわかりやすく提示したり、実績がなくても応募できる“特別枠”を設けたりしてさらに企業への浸透を図る。
幅広い途上国支援に取り組むJICAの事業は「何かしらSDGsに当てはまる」(民間連携事業部の福原一郎氏)。JICAの事業に採択されれば、SDGsに取り組んでいるといってもよい。
JICAは民間活力を生かした途上国支援のニーズの高まりを受け、2012年度に中小企業海外展開支援事業を開始した。企業の技術・製品が途上国の課題解決に役立つかを試す調査事業などに、JICAが850万円―1億円規模の費用を支援する。18年度までに784件が採択された。
12―18年度の同事業を見ると、12年度に採択された企業のうち5割を関東が占めていた。これに対して、18年度は関東の割合が3割台に低下。代わりに関西、四国、中国、九州・沖縄を合わせた関西以西で4割超まで拡大した。SDGsの認知度の高まりやJICAの地方事務所の広報活動などもあり、採択企業はこれまでに47都道府県すべてを網羅。関東への偏りも是正されつつある。
ただ、「まだ全国津々浦々まで浸透しているとは言いがたい」(企画部SDGs推進班の小田亜紀子氏)。
さらに企業の参加を増やすには、そもそも途上国がどのような課題を抱えているのかといったテーマになじみの薄い企業にもアプローチする必要がある。そこで19年度からはJICAが途上国の課題を具体的に提示して公募する取り組みを始めた。
最初の対象地域はアフリカだ。「保健、上水・衛生」や「農業、食料・栄養」「教育」「電力」など大枠の分野を示し、例えば上水では配水管の漏水や違法な使用による盗水などを指す「無収水対策」が課題と明示した。その上で、活用が想定される技術・製品・ビジネスモデルとして「スマートフォンを活用した料金徴収の効率化」や「漏水探知機」などを挙げた。課題を明確にしたことで、4月の公募では「通常全体の応募に占めるアフリカ案件の割合は1割前後だが、今回は2割に増えた」(民間連携事業部の福原氏)という。
また“革新的”と認められる斬新な技術・ビジネスモデルには、販売実績のない研究や試作段階の案件も採択する「イノベーション枠」を用意した。採択企業数は若干数としており、応募状況に応じて増減する。「実績がないとあきらめていた企業も積極的に挑戦してほしい」(福原氏)とし、企業のすそ野を一層広げたい考えだ。
幅広い途上国支援に取り組むJICAの事業は「何かしらSDGsに当てはまる」(民間連携事業部の福原一郎氏)。JICAの事業に採択されれば、SDGsに取り組んでいるといってもよい。
JICAは民間活力を生かした途上国支援のニーズの高まりを受け、2012年度に中小企業海外展開支援事業を開始した。企業の技術・製品が途上国の課題解決に役立つかを試す調査事業などに、JICAが850万円―1億円規模の費用を支援する。18年度までに784件が採択された。
12―18年度の同事業を見ると、12年度に採択された企業のうち5割を関東が占めていた。これに対して、18年度は関東の割合が3割台に低下。代わりに関西、四国、中国、九州・沖縄を合わせた関西以西で4割超まで拡大した。SDGsの認知度の高まりやJICAの地方事務所の広報活動などもあり、採択企業はこれまでに47都道府県すべてを網羅。関東への偏りも是正されつつある。
ただ、「まだ全国津々浦々まで浸透しているとは言いがたい」(企画部SDGs推進班の小田亜紀子氏)。
さらに企業の参加を増やすには、そもそも途上国がどのような課題を抱えているのかといったテーマになじみの薄い企業にもアプローチする必要がある。そこで19年度からはJICAが途上国の課題を具体的に提示して公募する取り組みを始めた。
最初の対象地域はアフリカだ。「保健、上水・衛生」や「農業、食料・栄養」「教育」「電力」など大枠の分野を示し、例えば上水では配水管の漏水や違法な使用による盗水などを指す「無収水対策」が課題と明示した。その上で、活用が想定される技術・製品・ビジネスモデルとして「スマートフォンを活用した料金徴収の効率化」や「漏水探知機」などを挙げた。課題を明確にしたことで、4月の公募では「通常全体の応募に占めるアフリカ案件の割合は1割前後だが、今回は2割に増えた」(民間連携事業部の福原氏)という。
また“革新的”と認められる斬新な技術・ビジネスモデルには、販売実績のない研究や試作段階の案件も採択する「イノベーション枠」を用意した。採択企業数は若干数としており、応募状況に応じて増減する。「実績がないとあきらめていた企業も積極的に挑戦してほしい」(福原氏)とし、企業のすそ野を一層広げたい考えだ。
日刊工業新聞2019年7月5日