大企業の知財吸い上げ防止、公取委「下請け中小対策」で一手

業界団体などに説明会

 公正取引委員会(公取委)は、製造業の企業間取引における知的財産の不当な吸い上げを防ぐための対策に乗り出す。企業や業界団体向けの説明会を7月以降、順次開催し、下請け中小企業が保有する知財の不当な利活用を防止する。公取委の調査で、企業が取引先から知財の開示を不当に強いられる事例が多数判明したことに対応する。持続的成長に向け知財戦略の重要性が高まる中、不当行為は企業の競争力を阻害する。対策の実行で適正な企業間取引を促す。

 説明会は不当行為の事例紹介や独占禁止法の解説などを行う予定。公取委のほか、自動車や電機といった各業界団体に協力を要請し、順次開催する。経済産業省や中小企業庁、特許庁など関係省庁とも連携し、公取委がまとめた事例集などを通じ製造業全体への周知活動を進める。知財やノウハウを対象にした独禁法の優越的地位の乱用行為について情報収集を強化するほか、下請法を含め違反行為に厳正に対処する。

 公取委が中小を含む製造業者3万社を対象に実施した調査では、回答した1万5875社のうち不当行為を受けたとする企業は641社、個別報告事例は726件にのぼった。

 不当行為の内訳では「ノウハウの開示等の強要」が最も多く「レシピや設計図、3次元(3D)データなど契約に含まれてないノウハウ・知財まで無償提供させられた」と回答する企業が全体の約2割を占めた。

 不当行為を受けたと回答した企業の中には有力な知財を持つベンチャーが含まれていることも判明した。公取委の担当者は「資金に余裕のないベンチャーにとって死活問題」と指摘する。

 製造業者が取引先からの知財を不当に吸い上げられる背景に、取引先との関係を重視し承諾せざるを得ない実情などがある。こうした製造業者の足元をみて取引先が「事情を分かった上で不当な契約を強いるケースがあるのでないか」と公取委の担当者は分析する。

日刊工業新聞2019年7月1日

  

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