日本企業、アフリカからの留学生に関心高く
神戸でジェトロの「アフリカ留学生とのネットワーキングフェア」
神戸市は「神戸ビジョン2020」の中で「アフリカなど成長産業との経済交流」を打ち出し、2016年5月にルワンダ・キガリ市と情報通信技術(ICT)を活用した課題解決型ビジネスの構築に向けたパートナーシップ宣言をした。ジェトロは2017年3月に「アフリカビジネス研究会」を立ち上げ、11月20日に神戸市で国際協力機構(JICA)関西、日本国際協力センター(JICE)、同市との共催で「アフリカ留学生とのネットワーキングフェア」を開き、約250人が参加した。
「アフリカビジネス研究会」は2017年3月27日に第1回が開催され(2017年4月13日記事参照)、4回目となる今回は企業と留学生のネットワーキング・交流会も併催する大型イベントとなった。
第1部の研究会では3人の講師が、アフリカでの人材育成、エチオピアでの企業展開事例、今後のアフリカビジネスの可能性と課題について講演した。
ジェトロ・アジア経済研究所の大塚啓二郎上席主任調査研究員は「日本型のアフリカ開発戦略」と題し、アフリカの工業化支援のための戦略を説明した。
多くのアフリカ諸国では海外の技術や経営の模倣、ならびに学習が欠如していることが問題であり、無理のない産業構造の高度化が必要と指摘。アフリカなど途上国の企業に欠けているのは「経営者力」であり、アフリカの工業化を進める上で企業経営者の訓練が有効だと提案した。
特に日本式経営の「カイゼン」研修は工業化のスタートとしてうってつけだとし、企業経営者など人材教育の重要性について説明した。
続いてヒロキの権田浩幸代表取締役は「エチオピアでの活動と弊社における人材育成の必要性」と題して講演。エチオピアに革製品の工場を設立した経緯を説明し、皮革技術のスタッフなど人材育成に時間がかかるなどの課題も指摘した。
今後は課題解決のため、皮革工芸のプロ養成学校を設立する計画もあると紹介し、エチオピアでビジネス展開している日本企業として、現地での活動を人材育成の課題などとともに説明した。
最後にデロイトトーマツコンサルティングのジェームス・クリア世界戦略室アフリカビジネス開発リーダーからは、アフリカにおいて今後日本企業に可能性のある分野として、食品・加工食品、飲料、ICT、自動車産業が挙げられた。
アフリカは国ごとに異なる規制や物流の障害が多いため、個々の国ではなく共同体を基にした地域戦略が必要であること、ビジネスの構築には実際に現地を見ることが肝要であること、現地ビジネスへの参入を円滑に行うためには現地パートナーが必要であり、その選定が重要であることなどを強調した。
第2部では、日本企業34社が参加してアフリカからの留学生109人とのネットワーキングを開催した。各社はブースを構えて留学生と個別面談を行い、今後のインターンシップ受け入れに高い関心を示す企業もあった。本研究会での初めての試みとして、留学生の同窓会ネットワーク「KAKEHASHI」も参加して、日本企業にアフリカ情報を提供した。
フェア後の交流会では、久元喜造神戸市長、モハンメド・ガナ・イサ駐日ナイジェリア大使、ベネティア・セブダンディ駐日ルワンダ大使があいさつに立ち、日本とアフリカ双方の文化や食の紹介も含めて交流を深めた。
神戸市内の大学にはアフリカ18カ国から60人を超える「ABEイニシアティブ」留学生が在籍し、市内の中小企業にインターンシップとして派遣される中で、新たなビジネスの芽が生まれつつある。今回のネットワーキングをきっかけにインターンシップに関心を持った企業も現れるなど、神戸発の新たなアフリカビジネスに期待が高まっている。
(文=小松崎宏之、江藤文恵)
「アフリカビジネス研究会」は2017年3月27日に第1回が開催され(2017年4月13日記事参照)、4回目となる今回は企業と留学生のネットワーキング・交流会も併催する大型イベントとなった。
第1部の研究会では3人の講師が、アフリカでの人材育成、エチオピアでの企業展開事例、今後のアフリカビジネスの可能性と課題について講演した。
ジェトロ・アジア経済研究所の大塚啓二郎上席主任調査研究員は「日本型のアフリカ開発戦略」と題し、アフリカの工業化支援のための戦略を説明した。
多くのアフリカ諸国では海外の技術や経営の模倣、ならびに学習が欠如していることが問題であり、無理のない産業構造の高度化が必要と指摘。アフリカなど途上国の企業に欠けているのは「経営者力」であり、アフリカの工業化を進める上で企業経営者の訓練が有効だと提案した。
特に日本式経営の「カイゼン」研修は工業化のスタートとしてうってつけだとし、企業経営者など人材教育の重要性について説明した。
続いてヒロキの権田浩幸代表取締役は「エチオピアでの活動と弊社における人材育成の必要性」と題して講演。エチオピアに革製品の工場を設立した経緯を説明し、皮革技術のスタッフなど人材育成に時間がかかるなどの課題も指摘した。
今後は課題解決のため、皮革工芸のプロ養成学校を設立する計画もあると紹介し、エチオピアでビジネス展開している日本企業として、現地での活動を人材育成の課題などとともに説明した。
最後にデロイトトーマツコンサルティングのジェームス・クリア世界戦略室アフリカビジネス開発リーダーからは、アフリカにおいて今後日本企業に可能性のある分野として、食品・加工食品、飲料、ICT、自動車産業が挙げられた。
アフリカは国ごとに異なる規制や物流の障害が多いため、個々の国ではなく共同体を基にした地域戦略が必要であること、ビジネスの構築には実際に現地を見ることが肝要であること、現地ビジネスへの参入を円滑に行うためには現地パートナーが必要であり、その選定が重要であることなどを強調した。
第2部では、日本企業34社が参加してアフリカからの留学生109人とのネットワーキングを開催した。各社はブースを構えて留学生と個別面談を行い、今後のインターンシップ受け入れに高い関心を示す企業もあった。本研究会での初めての試みとして、留学生の同窓会ネットワーク「KAKEHASHI」も参加して、日本企業にアフリカ情報を提供した。
フェア後の交流会では、久元喜造神戸市長、モハンメド・ガナ・イサ駐日ナイジェリア大使、ベネティア・セブダンディ駐日ルワンダ大使があいさつに立ち、日本とアフリカ双方の文化や食の紹介も含めて交流を深めた。
神戸市内の大学にはアフリカ18カ国から60人を超える「ABEイニシアティブ」留学生が在籍し、市内の中小企業にインターンシップとして派遣される中で、新たなビジネスの芽が生まれつつある。今回のネットワーキングをきっかけにインターンシップに関心を持った企業も現れるなど、神戸発の新たなアフリカビジネスに期待が高まっている。
(文=小松崎宏之、江藤文恵)
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