下方修正も…好調の半導体製造装置の業績に不透明感

米中摩擦など不安要因

 明るく見えていた半導体製造装置メーカーの業績見通しに、不透明感が出てきた。半導体需要が期待できるとして日立ハイテクノロジーズとニコンは半導体関連部門で2020年3月期に増収を見込み、ディスコは工場の増設を決定。一方で成長を続けている東京エレクトロンは中期経営計画の目標を見直し、キヤノンは業績見通しを下方修正した。(文=石宮由紀子)

 半導体需要が大きく見込めるとして、増収を計画するのは日立ハイテクノロジーズとニコン。日立ハイテクは半導体前工程製造装置の20年3月期の売上高の予想を、19年3月期比16%増の792億円とした。半導体メモリー投資の本格的な回復は、20年になると予想している。

 半導体露光装置を展開するニコンは、取引先の設備投資の堅調さが反映される。半導体露光装置を含む精機事業の20年3月期は、フラットパネルディスプレー露光装置などの落ち込みにより前期比減収を予想するが、半導体露光装置は好調。

 特に売上額と利益率の大きい新品の販売比率が高まっており、半導体露光装置部門は増収となる見通し。新品装置の販売台数は19年3月期の21台から、20年3月期に31台へと増加する。

 ディスコは、取引先の投資意欲が短期間で激しく変動することを理由に需要予測が困難として、19年4―6月期だけにとどめる。その19年4―6月期は、19年1−3月期と比べ、増収になる見通し。半導体の需要が旺盛なため、桑畑工場(広島県呉市)や長野事業所茅野工場(長野県茅野市)の設備増強を進めている。

 キヤノンは半導体製造装置を含む産業機器事業で、19年12月期の営業利益を1月発表比197億円減となる283億円に下方修正した。取引先の投資が一巡して落ち着いており、半導体製造装置の販売低迷が響く。

 「半導体企業の(半導体製品の)在庫が少なくなっているのではないか」と、4月の説明会で分析していたのは、河合利樹東京エレクトロン社長。だが、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題が影を落とす。21年3月期を最終年度とする中期経営計画の財務モデルにおける達成時期を「今後5年以内」に変更した。

 国内の半導体メーカーの業績が厳しい一方で、好調な海外向けの販売を伸ばして好業績を維持していた半導体製造装置メーカーも少なくない。このため、海外半導体メーカーの装置需要を取り込んでいた「国内の半導体製造装置メーカーはいたって元気」(半導体製造装置メーカー首脳)との声も上がる。ただこの数カ月のうちで、米中貿易摩擦をはじめとする海外の不安定要素が噴き出しているのも事実。各社の今後の業績にじわりと影響が出てきそうだ。
       


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