5代目「RAV4」開発者の本音、SUV活況も今のままではユーザーに飽きられる

危機感をバネに同じタイプの商品群と一線を画す

【トヨタ自動車ミッドサイズビークルカンパニーMS製品企画ZDチーフエンジニア 佐伯禎一氏】

 都会でもアウトドアでも楽しめる新しいジャンルのスポーツ多目的車(SUV)のパイオニアとして、1994年に誕生した。5代目にあたる新型は、初代から受け継がれる「SUVのワクドキ」を体現し、新しいことにチャレンジしたくなるようなアクティブな気持ちを呼び覚ます商品を目指した。

 外観は力強さと都会的な洗練さを備えるデザインを重視。駆動システムでは、後輪のトルクを配分して左右独立で制御する、世界初の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用した。片側の車輪が空転した場合でも、もう一方にトルクを集めて駆け出せる。例えば豪雨で路面が冠水したケースに対処できる。

 やりすぎのシステムと受け取られるかもしれないが「こういう性能を持つのがSUV」との夢や憧れを感じてほしくて設定した。4WDシステムの駆動力やブレーキ、ステアリングを統合制御し、走行モードに応じて優れた走行性能や操縦安定性を実現する技術も盛り込んだ。

 荷室は後部座席を使用した状態でも1015ミリメートルの奥行きと、580リットルの容量を確保した。釣り道具やスノーボード、友人同士の旅行の際にスーツケースを積むなど、使い方はさまざまだ。

 3年ぶりとなる国内投入の大きな理由は、昨今、消費者のオンとオフの切り替えが大変上手になってきたと感じた点にある。「お一人様キャンプ」など、特に休日の時間の使い方が充実してきた。仕事も趣味も全力で楽しむアクティブ嗜好(しこう)の30―40代や、ファミリー層をターゲットユーザーとしている。

 近年のSUVは洗練された都会的な印象の商品が多く、競争が激化している。SUV市場は活況だと言われるが、今後5―10年を見ると同じような商品ばかりではユーザーに飽きられてしまうのではという危機感がある。新型RAV4はその流れから一線を画し、どこまでも行けそうな「SUVのワクドキ」を味わってもらい、人生をより豊かに楽しく過ごす一助となる存在になってほしい。

日刊工業新聞2019年6月5日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
06月07日
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SUVの楽しさを追求する、という狙いが当たり販売は好調にスタートした。発売後1カ月で、月販目標の8倍となる2万4000台を受注した。中でも20―30代の購入者は約4割を占めるという。SUV人気は当面続きそう。各社が注力する中で、RAV4は再び先駆者となれるか。この勢いがどこまで続くか注目される。

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