トヨタとベンツ、2社が見せた高級SUVの現実と未来

 米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーで高級スポーツ多目的車(SUV)の「現実と未来」を披露したトヨタ自動車とドイツ・ダイムラー。

 トヨタはコンセプト車「レクサスLF―1リミットレス」を世界初公開。高級車ブランド「レクサス」の旗艦SUVのコンセプト車になる。自動運転機能のほか、電気自動車(EV)などのあらゆるパワートレーンの搭載を想定しているのが特徴だ。

 フロントは張り出したフェンダーと長いフードを組み合わせ、ヘッドランプはフロントの立体的な造形に一体化させた。自動運転では目的地まで車側が運転操作を担うショーファーモードを搭載。電動車の普及を見据え、EVや燃料電池車(FCV)にも対応できる仕様にした。

 トヨタは2030年に同社の世界販売全体の約半分にあたる550万台の電動車を販売する目標に向け、徐々に製品戦略が明らかになってきている。2020年にも「RAV4」ベースのプラグインハイブリッド車(PHV)も生産を始める。

 トヨタはこれまで長きにわたって示してきた電動車住み分けのイメージを刷新し、EV領域をより広い車両や長い移動距離へ拡大させた。

 ただトヨタ系の最大サプライヤーであるデンソー有馬浩二社長は「EVの数量がすごく大きくなるとは思わない。自動車メーカーもイメージ戦略で打ち出している」と冷静だ。

 トヨタはマツダと米アラバマ州に完成車の新工場の建設を決めた。21年をめどに30万台規模の合弁工場を稼働させ、トヨタは小型車「カローラ」を、マツダは新投入するスポーツSUVをそれぞれ生産する。ガソリン車への需要もしっかと見据えている。

 一方、ドイツ・ダイムラーはメルセデスベンツのSUV「Gクラス」を約40年前の発売以来初めて刷新、デトロイトで公開した。ダイムラーは22年までに全ての車種でEVもしくはハイブリッド車を選べるようにする考えでいる。

 新「Gクラス」の二酸化炭素(CO2)排出量は他のメルセデス車の2倍余りで、同ブランドが環境対応車への移行を目指す中で例外的な存在だ。

 1970年代後半にGクラスを開発した際、兵士や探検家向けを想定していた。しかしSUVブームに伴いメジャーな車になると、ハリウッドなどのセレブの間で人気になり、売り上げはここ10年間で大幅に増加している。

 お披露目イベントにはアーノルド・シュワルツェネッガーカリフォルニア州前知事を招待。同氏はダイムラーのディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)に対し、GクラスのEV版の提供を約束するよう求めた。ツェッチェCEOは「乞うご期待」と答えるにとどめた。

 ダイムラーは米国でEVを生産するためアラバマ州の工場に10億ドル(約1100億円)を投資を計画している。2020年代の初めにメルセデスベンツのSUV型のEVを量産するほか、電池の新工場も建設する。欧州と中国とあわせた3極体制とし、EVシフトを加速する。
でコンセプト車「レクサスLF―1リミットレス」

明 豊

明 豊
01月22日
この記事のファシリテーター

 世界の自動車メーカーで最も技術開発の底力があるだろうトヨタとダイムラー。電動車の未来を見せつつ米国で既存ガソリン車の工場増強に動くトヨタ。ガソリン車のイメージを保ちつつEV工場の計画を進めるダイムラー。両社の行き着く先は最終的に同じかもしれない。世界の環境規制がどの時間軸で進むのか。それに合わせ消費者の購買意識はどう変わるのか。巨大自動車メーカーの模索はまだまだ続く。

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