METI
製造業のグローバル出荷指数が過去最高に。19年はどうなる?
経済産業省経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、日系製造業の国内外の拠点全体での出荷の動向を一元的に捉える観点から、国内拠点からの出荷(国内出荷)と海外現地法人の海外拠点からの出荷(海外出荷)の動きを比較可能な形で指標化し、合算した「グローバル出荷指数」を試算し、公表している。この度、2018年の数値がまとまったので、概略を紹介する。
まず、日系製造業の国内拠点からの出荷と海外現地法人の海外拠点からの出荷を合算したグローバル出荷指数は、2018年は指数値104.5、前年比1.1%と2年連続の上昇となり、2015年基準としては最高値となった。日系製造業の国内外あわせた活動は、リーマンショック後いったん大きく低下した後、近年は再びほぼ継続して上昇の動きを見せているが、直近では2017年の前年比3.6%と比較すれば上昇幅は縮小している。
グローバル出荷の内訳をみると、日本企業の海外生産拠点からの出荷である海外出荷指数は、指数値108.0、前年比1.7%と2年連続の上昇となり、2015年基準の指数値としては最高値となった。
また、日本国内の生産拠点からの出荷である国内出荷指数は、指数値103.0、前年比0.8%と2年連続の上昇となり、こちらも2015年基準の指数値としては最高値となった。
グローバル出荷指数の前年比1.1%上昇に対する影響度(寄与)をみると、海外出荷が0.54%ポイント、国内出荷が0.53%ポイントとともに上昇に寄与している。2017年も海外出荷、国内出荷が同程度に上昇寄与しており、日系製造業のグローバルな活動を国内拠点・海外拠点の両輪が支えているという状況である。
2018年の海外出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値109.7で前年比2.8%上昇、輸送機械工業は指数値111.1で前年比2.2%上昇、電気機械工業は指数値107.6で前年比1.0%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比0.7%上昇となった。それ以外の業種計も上昇となったが、主要4業種と比べると弱い動きである。
2018年通年でみれば好調とも言える海外出荷だが、これを四半期(季節調整済指数)でみてみると、海外出荷の主力である輸送機械工業はなだらかに推移したが、電気機械工業は第4四半期に前期比マイナス7.0%と大幅な低下、汎用・生産用・業務用機械工業、化学工業も年初からは低下傾向で推移した。とはいえ低下後も指数水準自体は2016年以前の水準と比べれば高く、この先どのような動きとなるのか、注視したい。
海外現地法人の海外拠点からの出荷を当該現地法人が立地する地域別に指数化した地域別海外出荷指数をみると、近年、ASEAN4(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)や中国といったアジアの現地法人が日系製造業の海外出荷の上昇をけん引している様相がみえてくる。
2018年は、ASEAN4指数は指数値119.9、前年比5.9%と4年連続の上昇、中国指数は指数値113.0、前年比5.1%と2年連続の上昇となった。ASEAN4、中国の現地法人からの出荷は、通年でみれば引き続き好調で、それ以外の地域も上昇した。一方、北米指数が指数値93.3、前年比3.3%の低下となった。
ただ四半期(季節調整済指数)ベースでみると、中国指数に関しては、2018年第3四半期に入り前期比マイナス4.2%と低下し、同年第4四半期もその低い水準が続いている。
また、2018年第4四半期は、すべての地域の現地法人で海外出荷指数が低下している。このところ世界経済の減速がみられる中、今後の動向が注目される。
2018年の国内出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値112.0で前年比5.0%上昇と、2017年に引き続き大幅な伸びを見せている。輸送機械工業は指数値106.2で前年比1.1%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比1.0%上昇、電気機械工業は指数値101.1で前年比0.9%上昇となった。一方、それ以外の業種計は前年比マイナス0.7%の低下となった。
グローバル出荷指数を用いて、「出荷海外比率」、「海外市場比率」、「逆輸入比率」の3つの指標も試算している。これら3つの指標は、「グローバル化比率」と呼び、製造業のグローバル化の指標としている。
このうち、日系製造業のグローバル出荷全体に占める海外出荷の比率である「出荷海外比率」は継続的に上昇しており、2018年は32.4%で2015年基準としては最高値となった。また、グローバル出荷全体のうち、日本市場以外の海外市場向けに出荷されたものの比率である「海外市場比率」も44.6%で同様に最高値となった。
一方、日本の輸入に占める日系現地法人の日本向け輸出の割合を示す「逆輸入比率」は25.4%と前年より低下となった。これは、日系現地法人の日本向け輸出は上昇しているものの、日本の輸入がさらに大きく上昇したためである。
継続して上昇基調
まず、日系製造業の国内拠点からの出荷と海外現地法人の海外拠点からの出荷を合算したグローバル出荷指数は、2018年は指数値104.5、前年比1.1%と2年連続の上昇となり、2015年基準としては最高値となった。日系製造業の国内外あわせた活動は、リーマンショック後いったん大きく低下した後、近年は再びほぼ継続して上昇の動きを見せているが、直近では2017年の前年比3.6%と比較すれば上昇幅は縮小している。
グローバル出荷の内訳をみると、日本企業の海外生産拠点からの出荷である海外出荷指数は、指数値108.0、前年比1.7%と2年連続の上昇となり、2015年基準の指数値としては最高値となった。
また、日本国内の生産拠点からの出荷である国内出荷指数は、指数値103.0、前年比0.8%と2年連続の上昇となり、こちらも2015年基準の指数値としては最高値となった。
国内拠点、海外拠点の両輪が支える
グローバル出荷指数の前年比1.1%上昇に対する影響度(寄与)をみると、海外出荷が0.54%ポイント、国内出荷が0.53%ポイントとともに上昇に寄与している。2017年も海外出荷、国内出荷が同程度に上昇寄与しており、日系製造業のグローバルな活動を国内拠点・海外拠点の両輪が支えているという状況である。
2018年の海外出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値109.7で前年比2.8%上昇、輸送機械工業は指数値111.1で前年比2.2%上昇、電気機械工業は指数値107.6で前年比1.0%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比0.7%上昇となった。それ以外の業種計も上昇となったが、主要4業種と比べると弱い動きである。
2018年通年でみれば好調とも言える海外出荷だが、これを四半期(季節調整済指数)でみてみると、海外出荷の主力である輸送機械工業はなだらかに推移したが、電気機械工業は第4四半期に前期比マイナス7.0%と大幅な低下、汎用・生産用・業務用機械工業、化学工業も年初からは低下傾向で推移した。とはいえ低下後も指数水準自体は2016年以前の水準と比べれば高く、この先どのような動きとなるのか、注視したい。
ASEAN4、中国の現地法人からの出荷好調
海外現地法人の海外拠点からの出荷を当該現地法人が立地する地域別に指数化した地域別海外出荷指数をみると、近年、ASEAN4(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)や中国といったアジアの現地法人が日系製造業の海外出荷の上昇をけん引している様相がみえてくる。
2018年は、ASEAN4指数は指数値119.9、前年比5.9%と4年連続の上昇、中国指数は指数値113.0、前年比5.1%と2年連続の上昇となった。ASEAN4、中国の現地法人からの出荷は、通年でみれば引き続き好調で、それ以外の地域も上昇した。一方、北米指数が指数値93.3、前年比3.3%の低下となった。
ただ四半期(季節調整済指数)ベースでみると、中国指数に関しては、2018年第3四半期に入り前期比マイナス4.2%と低下し、同年第4四半期もその低い水準が続いている。
また、2018年第4四半期は、すべての地域の現地法人で海外出荷指数が低下している。このところ世界経済の減速がみられる中、今後の動向が注目される。
汎用・業務用機械工業など大幅な伸び
2018年の国内出荷指数の動きをみると、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値112.0で前年比5.0%上昇と、2017年に引き続き大幅な伸びを見せている。輸送機械工業は指数値106.2で前年比1.1%上昇、化学工業は指数値105.6で前年比1.0%上昇、電気機械工業は指数値101.1で前年比0.9%上昇となった。一方、それ以外の業種計は前年比マイナス0.7%の低下となった。
逆輸入比率は前年より低下
グローバル出荷指数を用いて、「出荷海外比率」、「海外市場比率」、「逆輸入比率」の3つの指標も試算している。これら3つの指標は、「グローバル化比率」と呼び、製造業のグローバル化の指標としている。
このうち、日系製造業のグローバル出荷全体に占める海外出荷の比率である「出荷海外比率」は継続的に上昇しており、2018年は32.4%で2015年基準としては最高値となった。また、グローバル出荷全体のうち、日本市場以外の海外市場向けに出荷されたものの比率である「海外市場比率」も44.6%で同様に最高値となった。
一方、日本の輸入に占める日系現地法人の日本向け輸出の割合を示す「逆輸入比率」は25.4%と前年より低下となった。これは、日系現地法人の日本向け輸出は上昇しているものの、日本の輸入がさらに大きく上昇したためである。