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圧電素子を使った触覚デバイスの実力とは?

車載機器やウエアラブル機器向けの品種拡充
圧電素子を使った触覚デバイスの実力とは?

TDKが開発した「パワーハップ」2タイプ(イメージ、実物写真は非公開)

 電子部品各社が車載機器やウエアラブル機器向けなどに圧電素子を使ったハプティック(触覚)デバイスの開発を活発化している。4―5年程度で成長が期待される触覚デバイス市場に対し、革新的な技術を求める顧客を取り込み市場での優位性を確保する。各社は技術の強みを生かして領域や用途を見定め、市場を押さえる姿勢だ。(山谷逸平)

 TDKは、ウエアラブル機器向け、具体的にはスマートフォン・タブレット端末、ゲーム機、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)機器向けに「エプコス」ブランドの触覚デバイス「パワーハップ」のラインアップを拡充する。小型で長方形の2タイプを新たに開発した。小型ながら大きな加速度と力を持ち、反応時間は1ミリ秒未満の短さが特徴。アジア市場をターゲットに2020年春にオーストリアの工場で量産を始める。

 ドイツ子会社のTDKエレクトロニクス(ミュンヘン市、旧エプコス)は、触覚技術を持つ米イマージョン(カリフォルニア州)と4月に、カナダのボレアス(ケベック州)と5月に相次いで共同マーケティング契約を締結した。グローバルな拡販に布石を打つ。

 「パワーハップ」はこれまでにカーナビゲーションシステムやカーエアコンなど車載向けに6タイプを開発済み。今回の2タイプを含めシリーズ全体で、5年後に日本市場で5000万円の売り上げを目指す。世界での売り上げ目標は非公表。

 京セラは圧電素子を活用した触覚伝達技術「ハプティビィティ」を用いて、カーナビなどの車載機器のクリックに多彩な触感を表現することを目指して製品を開発中だ。

 村田製作所も車載向けをターゲットとする。圧電素子を使った圧電セラミックス箔(はく)をたわみセンサーに応用し、人の筋肉振動を検知可能な車載向け「たわみセンサー」を開発中だ。

 これらは車の電装化やIoT(モノのインターネット)の進展などで需要拡大が予想される。

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