触覚デバイスは有望市場、電子部品メーカーの開発活発に

各社、感触再現技術で差異化

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アルプス電気はCEATEC(シーテック)で触覚デバイスをPR
 電子部品メーカー各社が触覚デバイスの開発を活発化している。アルプス電気は2018年度までに振動系と力覚系の新型触覚デバイスを相次いで製品化する。TDKは振動の発生力が異なる2機種をラインアップに用意し、17年末の量産を見込む。電子部品各社は、感触を再現する技術的なアプローチが異なっており、差異化された表現力で市場を深耕する。各社の強みや取り組みを追った。

 現在、開発の競争軸となっているのが触覚の種類だ。人間が感じる触覚を再現するため膨大な振動の種類を用意する必要がある。

 アルプス電気は、人間が圧力や温度を感じる操作荷重などを表した図「フィーリングカーブ」を作成。細かい区分けを含めると約500種にも及ぶ「フィーリングカーブ」を記録することで感触を数値化することに成功。当初はスマートフォンメーカー向けの主力製品「タクトスイッチ」の開発プロセスでデータを使用していた。

 触覚デバイスの需要増を見据え、それらのデータを応用し業界に先駆けて力覚を再現する「ハプティックトリガー」の開発にこぎ着けた。

 このほか振動型触覚デバイス「ハプティックリアクタ」も製品化。アルプス電気の萩原康嗣技術本部担当者は「果物を握りつぶす感覚を再現したり水温も含めてコップに水が注がれる振動を再現したりできる」と話す。

 一方、TDKの触覚デバイス「ピエゾハプトアクチュエーター」は製品自体が即座に振動し、小型・薄型化できるのが強みだ。電圧を加えると約0・004秒で振動。また製品自体が振動するため「小型化が進めばパソコンのキーボードをキー単位で振動でき、高速のブラインドタッチにも対応できる」(TDK担当者)と語る。

 キーボードにある全ての物理ボタンを触覚デバイスにすることも可能だ。さらに厚さが約0・35ミリメートルと薄いため、スマホやウエアラブル機器への搭載が容易としている。

 新たな市場に投入する動きも活発になっている。太陽誘電は積層技術や材料技術を生かした圧電アクチュエーターを4種に拡充。これまでハイレゾイヤホンに搭載され、高音質化に貢献していたが、今後は自動車や産業機械向けで非鉛型の製品開発を進めて提案する。また「ザラザラ感やツルツル感などを表現できるビーム型の圧電素子を開発している」(同社)という。このほか日本電産はスマホの触覚操作機器に採用された小型振動モーターを住設機器にも展開する計画。TDKも産業機械向けに訴求する。

 触覚デバイスの用途は機器の操作やシミュレーションの分野など幅広い。現在はゲームやスマホなど民生向けが中心だが、自動車や医療など参入障壁が高い市場へ拡大する傾向にある。アルプス電気の木本隆専務は「離島などで遠隔の手術ができるまで触覚を再現できれば」と展望を語る。
(文=渡辺光太)

日刊工業新聞2017年10月24日

COMMENT

触覚デバイスは各社の技術力や強みが大きく発揮できるまで市場が拡大していない。ただ直感的に操作できるのは魅力的な技術であり、将来は、あらゆる機器の操作が触覚デバイスを通じたものになる可能性がある。 (日刊工業新聞第一産業部・渡辺光太)

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