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携帯電話、新料金プラン6月スタートも「まだ分かりにくい」?

「頭をひねられたプログラム」ばかりになってしまうのか
 携帯電話大手が通信料と端末代金の分離を義務付けた改正電気通信事業法に対応した新プランを6月に相次ぎ始める。NTTドコモが、最大4割引き下げた新しい通信料金プランに続き、16日には36回分割払いを軸とした端末購入支援策を発表した。競合他社も追従するとみられるが、有識者からは「まだ分かりにくい」との意見もある。

「スマホおかえし」「ギガホ」…


 「非常に頭をひねられたプログラムだ」。17日に総務省で開かれた電気通信事業分野の競争ルール等の包括的検証に関する特別委員会。専門委員を務める有識者は、ドコモの端末購入支援策「スマホおかえしプログラム」をこう評価した。

 秋に施行予定の改正電気通信事業法は、2018年11月に総務省の有識者会議が作成した緊急提言案を土台としている。同案では、端末代金の残債を免除する従来の端末買い替え支援策が回線契約の継続や機種変更を条件としており、実質的な顧客の囲い込みだと指摘していた。

 「スマホおかえしプログラム」は、回線契約の継続や機種変更という条件がない。36回分割払いで対象機種を購入した契約者は購入機種を2年後に返却した場合、12回分の分割支払金の支払いが不要となり、約10万円の端末の1カ月当たりの支払額は2000円台で済む。ただ、27カ月後の返却だと実質的な負担額がいくらになるのかすぐには把握できない。

NTTドコモの料金比較

 ドコモの新しい通信料金プラン「ギガホ」「ギガライト」も3親等以内が加入できるファミリー割引グループ内に3回線以上ある場合でないと、最大限の割り引き対象にならない。専門委員からも「国民に分かりにくいプランかもしれない」との意見があった。

 ギガホとスマホおかえしプログラムの併用で2年間の支払額は従来比1割減る。20年3月期に約1800億円の営業減益を見込むドコモにとっては相当踏み込んだプランだが、分かりやすい料金体系も分離プランの狙いだったはず。競合他社がよりシンプルな購入支援策を打ち出せば、さらに消費者が理解しやすいプランの普及につながる。
(編集委員・水嶋真人)
日刊工業新聞2019年5月20日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
消費者に覚えてもらいやすいようなネーミングにしていると思うのですが、それもかえって謎を深めている一因のように思います。

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