マンション専業ゼネコンがICTで実現を目指すコト

長谷工が専門組織で推進

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価値創生部門はフリーアドレス環境、テレワークを積極的に採用
 長谷工コーポレーションは情報通信技術(ICT)を積極活用し、事業モデルや仕事の変革に挑んでいる。実行部隊の社長直轄組織「価値創生部門」が、マンション管理やサービスのあり方、契約行為の自動化といった戦略テーマを策定。より具体的な商品・サービスの開発に乗り出す。2019年度に順次、実証実験を始め、早期の実用化を目指す。(文=編集委員・神谷信隆)

予算200億円


 「人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)含め大きな時代の変化を感じ、このままでは乗り遅れる危機感があった」。辻範明社長は価値創生部門を立ち上げた理由をこう語る。

 価値創生部門は18年10月、既存のCR推進部、ICT活用推進部、IT推進部に、IT投資戦略の立案・実行部隊「FIT開発部」を加えて始動した。グループ6社から30代を中心に人選した横断組織だ。辻社長は「3年以内にグループ各社をどう変えるか提案、成果を出せと言っている。予算は200億円。成功しないと当社の将来はない」とまで言い切る。

顧客と接点拡大


 FIT開発部は新しいマンション管理やサービスのあり方、契約行為の自動化、スマートシティーなど中長期の戦略テーマを策定。現状、個別テーマのサービスを具体化すると、30―40本のシステム開発が必要と見ており、「自社開発にこだわらず、ベンチャーなど外部企業と協業してシステム開発を早める」(楢岡祥之常務執行役員)方針だ。新技術のテストマーケティングの場とも位置付け、本当に効果がある技術か怖がらずに使い、開発スピードを上げる。

 また、「当社の弱みは顧客の接点と次の接点まで時間が空くこと」(同)と認識し、CR推進部が顧客対応の情報基盤を構築して顧客との接点を拡大する。グループのコールセンター(顧客相談窓口)を高度化し、例えばインターネット媒体でリフォーム、管理、賃貸、シニアの各事業と顧客をタイミング良く結びつけるサービスや仕組みを検討する。

住宅にIoT


 ICT活用推進部は19年度に自社所有マンションへIoTを導入し成功事例をつくる。加速度センサーや環境センサーを導入する棟数を増やし、人や建物に与える影響を分析。入居者に価値があると判断できたら、分譲マンションに展開する。

 また、米アーキバスのファシリティー管理(FM)システムを導入。建物の3次元(3D)モデリング技術「BIM」を使い、日本の集合住宅で活用できるか確認している。

 価値創生部門は新技術を使い、労働生産性を向上させる役割も担う。仕事場はフリーアドレスとし、無線対応のモバイル端末で作業する。新たな挑戦の結果、19年度にどんな成果が得られるか。長谷工の将来を占う実験を注視したい。

日刊工業新聞2019年3月22日

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