ゼネコン・不動産業界はなぜ儲かっているのか。

ゼネコン、採算重視し量追わず。労務費の上昇は来期以降に

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新国立競技場の本体工事が12月から始まる
 ゼネコンの業績が好調に推移している。ゼネコン15社の2017年3月期連結決算業績予想は、9社が営業と経常の両利益段階で増益を見込む。堅調な建設需要を背景に、工事の採算改善などで利益を確保する見通し。工事の逼迫(ひっぱく)に伴う労務費の上昇は、18年3月期以降にずれ込むとの見方が多く、17年3月期業績の足を引っ張ることはなさそうだ。

 16年4―9月期連結決算は、15年10月に大和小田急建設と合併して単純比較できないフジタを除き、14社が営業、経常で最高益を更新した(安藤ハザマは旧安藤建設・旧間組の合併以降)。各ゼネコンとも受注時からの工事の採算改善に加え、設計変更に伴う追加費用の確保などが利益を押し上げた。下期も同様の傾向が続くとみられ、一定水準の利益率確保を見込む。

 期初は、工事の逼迫に伴う労務費の上昇が懸念されていたが「今期末まで高騰はない」(日高功二熊谷組執行役員)と予測。首都圏などの再開発工事が本格化する18年3月期以降に、上昇するとの見方が強い。資材費も「安定している」(河埜祐一西松建設取締役常務執行役員)と、業績向上にプラスに働く。

 一方、9社が16年4―9月期で減収となり、7社が17年3月期に減収を見込む。「工事が大型化して工期が伸び、出来高がずれ込んでいる」(今中裕平長谷工コーポレーション取締役常務執行役員)ことが大きな要因。採算重視の受注を進め、量を追わなくなっていることも理由にある。


オフィス賃料戻る。マンションも堅調


 大手不動産の2016年4―9月期連結決算は三井不動産、三菱地所、住友不動産の上位3社がいずれも各利益段階で最高を更新した。オフィス市況の改善が追い風となった。ただし、分譲マンションに関しては、増益の3社を含めて売り上げ計上戸数が前年同期に比べて少なかったり、期初計画に比べて減らしたりする傾向も目立った。

 三井不動産は新しい商業施設の通期稼働に加えて、オフィスビルの好調が収益を押し上げている。分譲マンションは「順調に売れている。市況が悪くなっている感覚はない」(佐藤雅敏取締役常務執行役員)と強気だ。17年3月期の売り上げ計上予定戸数に対して、契約進捗(しんちょく)率は91%に達した。

 住友不動産の16年4―9月期のマンション契約戸数は、最高となった。販売は好調ながら「市況が一気に冷える可能性もゼロではない。緊張感も持って見ていく」(尾台賀幸取締役財務部長)としている。

 三菱地所はオフィスビル事業が好調。「賃料がしっかり戻ってきている」(片山浩取締役執行役常務)。ただ、分譲マンションは17年3月期の新規発売戸数を、期初計画比700戸少ない3500戸とした。「物件選別の目が厳しくなっている」(同)と見ている。

 東急不動産ホールディングス(HD)は17年3月期のマンションの売り上げ計上戸数を、期初計画比で1割強減らした。「通期の営業利益計画の達成が見えたため」(兼松将興執行役員)で、無理に計上しない方針。

 野村不動産ホールディングス(HD)と大京は、前年同期に比べマンション売り上げ計上戸数が期末に偏重。こうした背景もあり16年4―9月期の各利益段階は減益も、17年3月期の各利益予想は据え置き。

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

マンションデベロッパーに聞くと、新築は同じ価格であっても以前に比べ相当品質を落としているという。それだけ仕入れコストが高くなっている。物件選びはより慎重に。

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