釈然としない会見、スナール氏の温和な笑顔の裏にある真意は?

 日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社首脳は12日、記者会見し、提携戦略を統括する新たな会議体の設立で基本合意したと発表した。3社首脳がメンバーとなり、対等の精神に基づく合議制で運営する。唯一の意思決定機関と位置付け、経営のスピードを上げる。カルロス・ゴーン被告が3社トップに就き、権力が集中した体制から脱却し再スタートを図る。またルノーのジャンドミニク・スナール会長は会見で「日産の会長になろうとは思っていない」と明言した。

 会見には日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)、ルノーのスナール会長とティエリー・ボロレCEO、三菱自動車の益子修CEOの4人が出席した。スナール氏は「連合は成熟段階にあった。それを次のステップに進める」と話した。

 4人がメンバーとなる新たな会議体「アライアンス オペレーティング ボード」を設立した。議長にはスナール会長が就く。ゴーン被告の逮捕後、3社連合は意思決定について合議制を導入した。アライアンスボード設立により合議制を継続するための形を整え役割を明確化した。

 これまでは統括会社「ルノー・日産BV」「日産・三菱BV」のほか、3社CEOが参加する会議体で意思決定する体制だった。今後はアライアンスボードに一本化することで、意思決定や運営を効率化してスピードを高める。

 西川社長は「今後は名実ともにイコールパートナーでやる」と話した。スナール氏はアライアンスボードの設立は「(連合内の)資本構成にはまったく影響しない」と説明した。スナール氏は4月8日の臨時株主総会を経て日産取締役となり、取締役会副議長に就く方向で調整する。

会見要旨


 会見した日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)、三菱自動車の益子修CEO、仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長の主な一問一答は次の通り。

 ―新組織の発足は経営統合に向けたステップの一つか。

 スナール会長 資本構成に影響はない。早く効率性をあげて、業務を推進することが大切だ。

 ―資本関係の見直しを仏政府が要請しているが、棚上げや先送りをするということか。

 スナール会長 今日のポイントではない。仏政府については株主として尊重しているが、ルノー、日産と三菱自に(各社の)将来がある。3社の将来に向けた取り組みをしたい。それが今、集中しているポイントだ。

 ―ルノーの会長が日産の会長になるべきだと考えているか。

 スナール会長 私は日産の会長になろうとは思っていない。副議長の候補には適しているだろう。副議長の責任の中で、ガバナンスの提言を尊重するつもりだ。

 西川社長 ルノーの会長だから日産の会長になるというわけではない。

 ―自動車業界の変化にどう対応していくか。

 益子CEO 技術やビジネスモデル、価値観の変化に3社で対応していく。

日刊工業新聞2019年3月13日

中西 孝樹

中西 孝樹
03月13日
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釈然としない会見だった。ルノー・日産のアライアンスを脅かしているのはゴーン氏の悪行だけではなく、フランス政府の看過できない経営への関与にある。アライアンスの継続を担保するルノー側の融和姿勢は十分に予測できたが、新統治体制ができたといっても、フェアなアライアンスの業務執行と資本の論理の将来的な圧力への懸念が消えてわけではない。スナール氏の温和な笑顔の裏にある真意を読み取らなければ。

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