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燕三条のステンレス製食器、「黒染め」でいい質感

 テーエム(新潟県三条市、渡辺竜海社長、0256・33・1200)は、ステンレス製食器ブランド「96(クロ)=写真」を発売した。工業製品などにも用いる「黒染め」という手法を使い、美観を向上させた。ラインアップは丸皿がサイズ別に三つと、タンブラーの計4種類。消費税抜きの価格は1800―5200円で、初年度300万円の売り上げを目指す。自社製品を発売するのは初めて。

 クロは、全製品が燕三条製。地域で使わなくなった金型を有効活用して協力会社が食器を作り、テーエムが黒染めをして販売する。黒染めは、水酸化ナトリウムの液体につけて酸化反応を起こす技法。ステンレス製品は美観が上がり、鉄製品ではサビ防止にもなるため、機械部品や工具の耐久性向上の目的でも施されている。塗装ではないため洗浄してもはがれにくく、処理後の水酸化ナトリウムは社内で中和できるため、環境への負荷も少ない。

 自社製品を新たな事業の柱にしたい渡辺社長は「クロを通して、黒染めという技術を知ってもらい、環境に優しい食器としてアピールしていきたい」とした。ステンレス製で割れないため、慶事における贈答品の用途も開拓したい考えだ。

 テーエムは、工業製品の黒染め加工を主に手がけている。2018年3月期の売上高は約5500万円。
日刊工業新聞2019年3月12日

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