ファーウェイが米提訴で、日本も対岸の火事ではない

5G覇権争い、立ち位置を見直す必要

 第5世代通信(5G)をめぐる覇権争いが米中間の大きな火種になってきた。中国のファーウェイ(華為技術)は7日、米議会によるファーウェイ製品の販売制限措置が米国憲法に反するとして米テキサス州の連邦地域裁判所に米政府を提訴した。

 ファーウェイ側は同日の会見をインターネットで全世界にライブ配信。「米議会は立法者、裁判官、陪審員の役割を一体で行おうとしている点で、三権分立の原則にも違反している」と強いトーンで批判した。また同社が製品に不正なシステムを組み込んでいるという“バックドア(裏口)”疑惑に関して「米国はこれまでにセキュリティー上の問題に関するいかなる証拠も示していない」と指摘した。

 セキュリティー上の問題の争いに限るなら、安全性をどこまで担保するかにもよるが、技術的に何らかの着地点を見いだすことは可能だろう。しかし5Gの覇権は安全保障問題に直結する。それだけに今回の提訴に対する判断は難しい。

 ファーウェイは第4世代通信(4G)の「LTE」関連機器で世界大手の一角だ。4Gまでの通信は、人間がスマートフォンなどを使ってコミュニケーションをとるのが主目的だった。

 これに対して5Gは「IoT(モノのインターネット)×人工知能(AI)」による技術革新のドライバーに他ならない。社会や産業への影響力は4Gよりもはるかに大きく、イノベーションを左右するとされる。

 中国政府が推進する一帯一路構想では主要都市に5Gを導入し、そこで集めたビッグデータ(大量データ)をもとに都市を丸ごとデジタル管理するような戦略が見え隠れする。都市のデジタル化は世界的な潮流とはいえ、これが中国を基点に実現した時に米国との摩擦が激化することは容易に想像できる。

 日本政府は米議会の決定に沿って、ファーウェイ と、同じく中国のZTE社の通信機器を事実上、政府調達から排除する方針を決めている。今回の一件は日本にとっては対岸の火事ではない。5G戦略と日本の立ち位置を見直す必要があろう。

  

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