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ファーウェイ締め出し、スマホ市場の勢力図に変化も

ファーウェイ締め出し、スマホ市場の勢力図に変化も
ファーウェイ締め出し、スマホ市場の勢力図に変化も

ファーウェイは高価格帯モデルの開発にも力を注いでいた

 政府が安全保障上の懸念から、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などを政府調達から事実上排除したことは、国内の携帯大手事業者の経営戦略に影響を与えそうだ。各社は政府の流れに追随して基地局への導入を見直す構えだが、こうした動きは存在感を高める中国製スマートフォンの販売にも逆風となりかねない。

 ファーウェイとZTEは14年以降、SIMフリー端末で日本市場に本格参入し、シェアを伸ばしてきた。中でも、ファーウェイの躍進はめざましい。17年にはSIMフリー端末の出荷台数で、初の首位を獲得するまでに至った。2万―3万円で購入可能な安さと性能の良さの両立が消費者に好評だ。

 その勢いは格安スマホにとどまらない。MM総研(東京都港区)の調査によると、18年度上半期の国内スマホ出荷台数で、ファーウェイは約1390万台中、約7・6%と5位を占めた。

 この急成長を支えたのはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手携帯3社への採用が進んだことが大きい。実際、ファーウェイは格安スマホに限らず、トリプルカメラ機能を備えた「HUAWEI P20 Pro」など高価格帯モデルの開発にも力を注ぎ、携帯キャリアへの展開を強化。「SIMフリーでの認知度の向上と大手キャリアへの展開が躍進を支えた」(MM総研)。

 携帯大手は、政府の料金引き下げ圧力を受け、端末価格を割引しないことで通信料を最大4割安くする分離型の料金プランを相次ぎ導入している。安くて性能が良い中国製スマホは、本来なら分離プラン導入という“追い風”が見込めた。

 MM総研は「ファーウェイをよく知らずに端末を購入したユーザーも一定数いると思われる。今回の騒動がネガティブに働く可能性はある」と指摘する。
                  
日刊工業新聞2018年12月12日の記事から抜粋

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