経済大失速-元中国大使が本当に伝えたいこと

インタビュー・宮本雄二氏「『中進国の罠(わな)』を十分自覚し、意図的に経済成長率を下げている」

 ―中国経済を明確にとらえるポイントは。
 「重要なのが、中国共産党にとって経済はどのような意味があるかをしっかり押さえることだ。経済が順調に発展しないと、中国共産党の統治が難しくなる。分かりやすく説明すれば、『経済の成長』+『社会の安定』=『中国共産党の統治・維持』という方程式が成立している。経済政策の帰趨(きすう)が、政権の命脈を左右しかねない正念場に中国共産党は立たされていると言えるだろう」
 
 「経済を発展させることで、課題を解決していくのが中国のやり方だ。大きな課題になっている社会保障や教育、環境問題などに対応するためには、経済が成長して歳入が確実に増えることで初めて担保される。中国共産党が経済を最優先せざるを得ない理由はここにあるし、必死だ」
 
 ―中国は「ニューノーマル」という中速成長を模索しています。
 「これは『経済構造の転換』を意味する。これまで中国は安価な労働力を武器に高度成長を実現した経済モデルから、労働生産性を高め、消費中心の内需型モデルへの移行を模索している。これを実現しないと中国の成長は難しい」
 
 「『ルイスの転換点』という法則があるが、まさに中国は構造転換を進めないと、先進国入りする前に成長が停滞する『中進国の罠(わな)』にはまり込んでしまう。中国はそれを十分自覚しており、意図的に経済成長率を下げて、経済に対する負担を軽減している。これが『新常態』と言われる経済政策が意味するところであり、今後も段階的に成長率を引き下げていく可能性が高い」
 
 ―中国は今後、どのような産業構造転換を図っていきますか。
 「既存の産業の労働生産性を高める、または生産性が高い新たな産業を育成することになるが、すべての根幹は科学技術力だ。科学技術力を高め、産業水準の引き上げに必死になっているが、ハードルはかつてに比べ高くなっている」
 
 「留意しなければならないのは、中国は科学技術の高度化を『外資』を使って実現しようとしている点だ。海外の技術や人材を積極的に受け入れている。上海の自由貿易区はその典型だ。外資をうまく活用し、短期間で科学技術力を向上させようと躍起になっている。この分野で先行する日本だが、決して侮ることはできない」

日刊工業新聞2015年07月02日 4面

村上 毅

村上 毅
08月03日
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 7月最終週は上海株が続落し、世界にインパクトを与えた。経済の帰趨=政権運営の命脈という宮本さんの指摘は示唆に富んでいる。正念場に立たされた中国政府が、中国経済の底堅さを演出するために、どんな手を打ってくるのか。8月の中国政府の動きが注目される。

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門上 俊洋
門上 俊洋
08月22日
行き過ぎた中国経済と国民の経済格差、インターネット普及により知る権利の拡大による中国国民の不満を如何に共産党政権に及ぼさないかが一番の問題ではなかろうか。
 海外旅行の増加による中国国内と諸外国特に日本との生活水準の違いを直接触れることにより、危機感は増大してきたのであろう。特に環境問題、インフラの質、これに伴う科学技術の格差である。
 手っ取り早く各種問題を解決する方法として、日本をターゲットとしてくることであろう。19世紀末の帝国主義が蔓延していた時でさえ、日本は占領した場所に自分たちの持てるもの全てを注ぎ込み開発したことを十分に分かって入りからである。欧米は利益のみ特定の中国人と組み、搾取しただけであるからである。
 つまり、科学技術が発展している国で一番御し易い国が日本なのである。
 今一度、日本の持つ独自性を考察しなければ、中国に蹂躙されるであろう。
  

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