ルノーは「推定無罪」の原則、ゴーン保釈で危うい日産

試される結束

 会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が保釈された。ゴーン被告がまだ日産の取締役であることは注目点の一つだ。同社は4月の臨時株主総会で解任する計画だが、その前のゴーン被告の言動によっては日産株主が動揺しかねない。ゴーン排除で一致し続けられるか、大株主である仏ルノーとの結束が試される。

 ゴーン被告の保釈決定を受け、日産の西川広人社長は「司法プロセスなので想定されたことかもしれない」と冷静に話した。しかし、本音では保釈はもっと後になってほしかっただろう。

 すでにゴーン被告は日産のほか、連合を組むルノー、三菱自動車の3社の会長や最高経営責任者(CEO)の役職から外れている。西川社長は保釈決定も「影響は特にない。(社員が)特に動揺することもないと思う」と淡々と述べた。

 一方、見方を変えれば日産は、取締役として残るゴーン被告を4月8日の臨時総会で解任するプロセスの途上とも言える。日産は社内調査でゴーン被告の不正を確認し、2018年11月の取締役会では全会一致で会長職と代表取締役を解いた。雑音なく4月の臨時総会を迎え、ゴーン被告の取締役解任を決議できれば理想的だった。

 世界的に発信力のあるゴーン被告は、臨時総会までにどんな言動をとるのか。金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪ではゴーン被告とともに日産も法人として起訴された。不正を見逃してきた西川社長ら取締役の責任は免れない。ゴーン被告が攻め入る隙はあり、日産株主が擁護に傾く懸念はある。

 焦点となるのはルノーの動きだ。日産株式の43・4%を保有しており、同社の判断によって臨時総会の決議は左右される。5日、ルノーのティエリー・ボロレCEOはルノーの経営は「次のページに進んだ」と述べた。ゴーン被告復帰の可能性を否定し、日産と足並みをそろえた形だ。

 ただルノーは「推定無罪」の原則に立ち、ゴーン被告が逮捕された当初は擁護する姿勢もみせた。また日産とルノーの主導権争いがくすぶる中、ルノーの筆頭株主である仏政府の思惑も絡む。両社の協定で日産取締役会の決定事項にルノーは株主総会で反対できないという規定はある。しかしゴーン被告排除で両社の思惑がすれ違えば、安定を取り戻しつつある3社連合が再び揺らぎかねない。
(文=後藤信之)

日刊工業新聞2019年3月7日

  

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