SDGsはニーズの宝庫!経営計画に取り入れた横浜の印刷会社

「第2回わが社のSDGs勉強会」開催

 中小企業がSDGs(持続可能な開発目標)に取り組むと、どんなメリットがあるのか-。千葉商科大学と日刊工業新聞社が2月28日に同大学キャンパス(千葉県市川市)で開いた「第2回わが社のSDGs勉強会」には、自社の活動にSDGsを取り入れたい約170人が集まった。

「余裕がないからこそ、やれることがある」


 第2回ジャパンSDGsアワードを受賞した大川印刷(横浜市戸塚区)の大川哲郎社長らが登壇し、具体的な取り組みについて説明した。同社は従業員約40人の中小企業。いち早く取り組んだことでメディアに取り上げられ、上場企業との取引を含めて新規受注の拡大につながった。早く始めれば始めるほど、メリットがある。そして「何より、一番良かったのは、従業員が感心を持って成長し始めた」(大川社長)という。

 従業員が全員参加でSDGsの考えを取り入れて経営計画を策定することが、活動を推進するドライバーとなっている。「やらされている感覚が払拭され、参画意識の高い活動になった」(同)。2018年度は「再生可能エネルギー100%印刷プロジェクト」や「若者カフェプロジェクト」などの7つのSDGs経営計画プロジェクトが実行された。

 社員だけで考えるのではない。社会課題の解決に興味を持つ学生に絞って、インターン生を募集し、一緒に解決すべき課題について考えた。その学生が留学生などの困り事から思いついたアイデアが、「4カ国語版お薬手帳」だ。現在、従業員らが大使館へお薬手帳を持って訪問し、新しい接点ができはじめた。

 中小企業にとってSDGsは、「『余裕があるからやれる』のではなく、『余裕がないからこそやれる』ことがある」と大川社長は話す。例えば、売り上げが足りないから、何かアイデアはないかという時。SDGsには、多くの人が解決策を求めているテーマが集まっている。言い換えればニーズの宝庫だ。そこにはまるアイデアを出せれば、ビジネスチャンスにつながる可能性が高い。

他地域への広がりに期待


 しかも、従業員がやる気を持って行動する。同社の子育て中のママさん社員は、「2030年そして2050年の未来、不幸で生きにくい世界では決してあってはならない、という強い気持ちが行動の原動力」と話したという。

 ただ、SDGs活動の1年目は「CSRとの違いわからない」という声があり、従業員の意識は変わらなかった。朝礼などでSDGsのクイズを出し、関心を持ってもらえるように工夫した。

 経済産業省関東経済産業局の佐竹佳典総務企画部長は、「中小企業がビジネスとして取り組めなければ、持続しない」と訴えた。同局では、SDGsを推進する企業を自治体が認定する制度を用意したほか、大企業とのマッチングなどでビジネスにつながる活動を応援していく。

 佐竹部長は、「ある大企業の幹部に『SDGsの17ゴールは自分自身を磨く“砥石”。進む道筋を教えてくれる』と言われ、感銘を受けた。それは中小企業の人たちも同じ」と呼びかけた。関東経産局では、社会貢献性の高い事業に取り組む中小企業をSDGsを切り口に後押しする。

 今後、他地域にも広がっていくことが期待される。

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梶原 洵子

梶原 洵子
03月03日
この記事のファシリテーター

大川印刷の大川社長のお話は、いろいろな示唆に富んでいました。特にインターン生との取り組みは、すごく真似したいと思いました。次回の勉強会は4月または5月に開催したいと思います。よろしくお願いします。

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