苦情5年で3倍、外貨建て保険の不誠実

70歳以上の契約者から多発

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 銀行などの窓口での販売が伸びている外貨建て保険商品をめぐり、苦情が増えている。生命保険協会が会員41社に実施した調査によると、2017年度までの5年間で苦情件数が3倍に増加。元本割れリスクなどの説明が不十分だとの声が上がっており、高齢者の契約で苦情が多い。こうした事態を受け、生保と銀行業界が連携して対策に乗り出している。

高利回りで急伸


 外貨建て保険は、円建て商品より高い利回りが見込めるとして、銀行の窓口を通じた販売が急速に伸びているが、為替の円高や途中解約により損失が出るリスクがある。

 生命保険協会が15日に発表した調査結果から、17年度の苦情件数は1888件となり、12年度の597件に対し3倍となったことが分かった。苦情の約8割が説明不十分だという。

預貯金と誤認


 具体的には「元本割れリスクについて適切な説明を受けていない」、「別の目的で銀行を訪問したにもかかわらずその場で生命保険を案内され契約した」、「保険であることの十分な説明がなく預貯金と誤認した」といった声がある。特に70歳以上の契約者は苦情が発生しやすいことも分かった。

 生保協の稲垣精二会長(第一生命保険社長)は同日の定例会見で「ニーズはあるが、リスクに対する説明が十分出来ていないのは問題だ」とした。販売の窓口を担う銀行についても、全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は14日の定例会見で「これだけの苦情があったことを踏まえれば、何をすべきだったのかについて、真摯(しんし)に受け止めなければならない。お客さまに向き合う銀行は責任を持つ立場にある」などと述べた。

説明を明確に


 今後、生保各社が作る資料を活用して銀行がリスクなどについて分かりやすい説明を行うほか、高齢者の契約時には親族に同席してもらうルールの策定を進める。

 記載項目や記載順を業界で統一し商品間の比較をしやすくしたり、実質的な利回りを表記したりする方針だ。信頼向上に向けて、両業界で連携した取り組みが求められている。

日刊工業新聞2019年2月19日

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