新規株式公開、今年も活況が続く理由

90件程度を維持する見通し

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 新規株式公開(IPO)件数が堅調だ。2018年の国内IPOは98件で、プロ投資家向け市場(TOKYO PRO)を除く実質的な件数は90件だった。証券各社によると、19年も18年と同水準の90件程度を維持する見通し。フィンテック(金融とITの融合)関連など新分野が台頭する中で、証券会社もIPO支援体制を強化しており、どこまで上場を果たせるかが注目だ。

 18年はソフトバンクグループ(SBG)の国内通信子会社であるソフトバンクや、フリーマーケットアプリ大手のメルカリといった知名度の高い企業の上場が話題となった。

 証券会社の主幹事獲得件数でみると、みずほ証券が24件(共同主幹事を含む)で首位。同社では、13年以降、IPO件数1位を目指して体制強化を進めてきたといい、中途採用や他部からの人員シフトによる増員などを図ってきた。「案件ソーシングの半数以上は銀行からの紹介で、グループ連携が機能している」(山岸洋一公開引受部長)という。

 SMBC日興証券はHEROZ、アルテリア・ネットワークスなど21件(共同主幹事含む)だった。

 河内一宏公開引受部長は「4―5年前から、公認会計士や弁護士など、専門知識を持った人材の獲得を強化している」としており、証券会社の体制強化がIPO件数の活況を支えている。

 19年のIPOについて、みずほ証券やSMBC日興証券は、18年と同程度の水準は維持すると見る。いちよし証券では95社程度と見込む。

 SMBC日興証券の河内部長は「知名度を上げたり、人材を集めやすくしたりする点で、引き続きIPOニーズは高い」と指摘。みずほ証券の山岸部長は人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、ロボティクス、電気自動車(EV)・自動運転のほか、既存事業と最新技術を組み合わせた「クロステック」を注目分野として挙げる。

 一方で東証1部の企業数は2100社となり、2部、マザーズ、ジャスダックのその他3市場合計の企業数を上回る状況にある。棲み分けが曖昧でアンバランスさも指摘される中で、日本取引所グループ(JPX)では、市場区分の再編をめぐる議論が始まった。

 ただ、「基本秩序を変えるとなると、相当な時間がかかる」(清田瞭CEO〈最高経営責任者〉)としており、市場の枠組みは直ちに変わることはなさそうだ。活況なIPO市場に水を差さないためにも慎重に再編議論を進める必要がありそうだ。

         

(文=浅海宏規)

日刊工業新聞2019年2月7日

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