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国交省がクルーズ船の観光を支援する理由

観光資源の活用や渋滞回避に期待
 国土交通省は2019年度に、クルーズ船で来港する訪日客向けに、水上交通と地元の観光資源を組み合わせたツアーを提供する地域を支援する。ツアー実施のための小型船舶の発着場の環境整備や、観光地の多言語案内板の設置などを後押しする補助制度を創設する。寄港地に停泊した際、選択肢の一つとしてツアーを提案し、訪日客の満足度向上につなげたい考えだ。

 観光ツアーの例としては、クルーズ船で寄港地に到着した後、小型の船で沖合の離島に移動してマリンスポーツや史跡を楽しむといったプランが想定される。船で川をさかのぼり、歴史的な町並みエリアを散策するコースなども候補だ。

 補助の対象は、港湾管理者の都道府県や地元市町村、船会社でつくる協議会などで、公募により決定する予定。案内板の設置や島の歩道の整備、外国語に対応したツアー予約フォームの開設などに取り組む場合、関連経費の3分の1を国費で補助する。

 クルーズ船をめぐっては、乗客が上陸すると大型バスで中心市街地まで移動し、商店街やデパートで買い物をしたり、市内観光へ誘導したりするプランが多い。ただ、訪日客のニーズは多様化しており、個々の希望に応えられるきめ細かなツアーの提供が課題となっている。渋滞に巻き込まれ時間のロスが生じるのを避けるためにも、水上交通を利用した観光は有効とみられる。
日刊工業新聞2019年2月7日

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