日本企業は英国の「合意なき離脱」にどう対応する?

生産調整や戦略の見直し、拠点の再編成など影響はさまざま

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 複数の英メディアが3日(現地時間)、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が「合意なき離脱」となった場合、英政府が暴動などに備えてエリザベス女王ら王室関係者をロンドンから退避させると報じた。実施するかは別として、3月末の離脱期限を控えた英国の困惑ぶりがうかがえる。日本企業も対応に動き出した。

計画を変更


 合意なき離脱の可能性が高まる中、日産自動車が英国のサンダーランド工場で生産予定だった次期スポーツ多目的車(SUV)「エクストレイル」を九州拠点で生産することを決めた。サンダーランド工場は欧州向けの輸出拠点と位置づけており英国内で最大規模の拠点。現行の生産に影響が出ないように配慮しつつ、「合意なき離脱」に対応するために計画を変更した。欧州事業担当のジャンルカ・デ・フィッシ専務執行役員は「英国とEUのあり方に見通しが立たない現況は事業計画を策定する上で一助にならない」とコメントした。

 ホンダも混乱に対応するため英国拠点の操業を4月から6日間休止するほか「生産を調整している」(倉石誠司副社長)という。

関税「心配」


 日立製作所は英国の北部に鉄道車両の工場を置く。西山光秋専務は1日の決算会見で「(鉄道車両事業の)調達品にかかる関税が心配だが、英国内でクローズできる体制を整えつつある。今は7割が英国国内(調達)」と語った。中長期的には英国外への輸出も視野に入れていたため、戦略の見直しも迫られる。

 ソニーは欧州本社の登記を英国からオランダに3月末に移す。EU圏内に本社を置くことで輸出入業務などの煩雑化を避ける狙いだ。英国の事業や人員は移さない。パナソニックは2018年10月、欧州の統括会社を英国からオランダのアムステルダムに移転した。欧州事業の中心機能はすでにドイツの拠点が中心で、業務上大きな変化はないという。

協力継続合意


 金融機関も対応が進む。英国とEUの金融監督当局は1日、合意なき離脱の場合でも、金融監督に関する協力関係の継続で合意した。当局同士で覚書を結び、必要な情報のやり取りを維持する考え。

 日本を含む多くの金融機関は、EUに加盟する1カ国で認可を取れば他の加盟国でも金融サービスを提供できる「単一パスポート」を活用。ロンドンに欧州の事業拠点を設置してきたが、EU離脱を踏まえ欧州拠点の再編を推進。英国パスポートを持つ三井住友銀行は18年に独フランクフルト市で銀行現地法人設立の認可を取得。証券では野村ホールディングスが同市で証券業に関する認可を受けたほか、SMBC日興証券も同市で現地法人設立の認可を得ている。

日刊工業新聞2019年2月5日

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