”飛べないMRJ”、この1年「前進したのか、後退したのか」

初飛行に債務超過解消も、“不透明なライバル”出現

 三菱重工業が開発中の国産小型ジェット旅客機「MRJ」をめぐり、2018年は大きな転換点となった。7月に英国で開かれた航空宇宙産業展「ファンボロー国際航空ショー」で初めて飛行展示に成功し、12月には開発子会社三菱航空機(愛知県豊山町)の債務超過を解消した。

 米ボーイングなど航空機大手は、仏パリとファンボローの2大国際航空ショーで新型機を飛行展示し、航空会社に営業をかける。

 三菱航空機は17年のパリ国際航空ショーで実機を初展示したが、飛行できなかった。航空当局からの型式証明(TC)取得のため、米国で実施中の飛行試験の進展もあり、ファンボローでは4日間中3日間飛行した。水谷久和三菱航空機社長は「セールスポイントの飛行中の静かさを感じていただいた」と意義を説く。

 だが、会期中に新規受注はなく、16年7月から現在まで受注から遠ざかる。17年に量産初号機の納入時期を2年遅れの20年半ばに延期したことが、影響している恐れがある。

 ただ、延期決定後の開発は進展した。延期の原因となった電子機器と電気配線の配置を見直す設計変更にはめどがつきつつある。19年前半には、設計変更を反映した試験機2機を追加投入し、TC取得を目指す。

 半面、開発費用はかさんだ。三菱航空機の債務超過額は17年3月末時点で約510億円だったのが、18年3月末には約1100億円に膨らんだ。三菱重工は2200億円の資本増強を10月に決め、宮永俊一社長は「残る資金を量産体制の構築まで用いる」と決意を述べた。7日には資本増強完了を発表した。

 19年は開発が佳境を迎える。TC取得に向け、航空当局の審査にあたるTCフライトに入る。営業面では、競合のブラジル・エンブラエルがボーイングの傘下に入ることが18年7月に決まり、受注競争が今後不利になる懸念はある。開発の進展が営業面にプラスに働く効果に期待したい。
(文=名古屋・戸村智幸)

  

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