停滞する米中の自動車市場、勝った会社・負けた会社
日系メーカーに明暗
米国、中国の自動車2大市場に停滞感が出てきた。2018年の新車販売実績は世界2位の米国は前年比横ばいに留まり、1位の中国は28年ぶりの前年割れとなった。両市場で日系メーカーの中でも明暗が分かれた。19年に両市場が大崩れするとの見方は少ないが、米中貿易摩擦など懸念材料は残り、先行きは不透明だ。
マークラインズの推計によると、米国の18年の新車市場は前年比0・3%増の1727万4250台だった。減税効果で消費が刺激される環境下だったが、前年比横ばいに留まり市場の成熟化を印象付けた。
日系メーカーでは商品展開でスポーツ多目的車(SUV)の比重が高いマツダ、三菱自動車、SUBARU(スバル)が前年比プラスとなったが、トヨタ自動車は横ばい、日産自動車、ホンダはマイナスだった。ホンダはメキシコの洪水で商品供給が滞ったことが響いた。
19年の新車市場は1700万台弱と見込む自動車メーカーが多い。一方、ゴールドマン・サックス証券は、19年は1640万台と見込む。金利上昇で車両の実質的な販売価格が上がり、新車需要に水を差すとみる。同社の湯沢康太マネージング・ディレクターは「収益性向上が自動車メーカーの重要な経営テーマになる」と指摘する。
またピックアップトラックやSUVを含む「ライトトラック」の人気が継続しており、「ライトトラックと、(セダンなどの)乗用車の需要をどうコントロールしていくかが課題」と八郷隆弘ホンダ社長は話す。
一方、中国汽車工業協会によると18年の中国の新車販売台数は、前年比2・8%減の2808万600台と28年ぶりの前年割れとなった。17年に販売を押し上げた減税効果がなくなり、反動減が出た。また米中貿易摩擦により景気の先行き不安が高まり、市場成長に水を差したとみられる。
中国新車販売で日系メーカーではトヨタ、日産、三菱自は前年比プラスとなり過去最高を更新した。トヨタは高級ブランド「レクサス」も好調で2ケタ増と成長した。一方、ホンダ、マツダ、スバルは前年割れだった。ホンダは主力SUV「CR―V」が不具合で一時販売停止になったことが響いた。
中国政府は29日、旧型の排ガス規制対応車や、農村での小型車への買い替えを支援する補助金制度を発表した。ただ過去3回、補助金政策を実施しており、「刺激策があっても、その効果は徐々に薄れてきている」(湯沢マネージング・ディレクター)との指摘がある。19年は大崩れはしないものの停滞は続く可能性が高い。
米中貿易戦争が激化すればさらに景気を冷やしかねない。中国市場の中長期の成長ポテンシャルに期待する声が多いが杉本浩一三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストは「景気が急激に悪化すれば、20年まで3年連続の前年割れというシナリオもあり得る」と警鐘を鳴らす。
減税効果が微妙だった米国
マークラインズの推計によると、米国の18年の新車市場は前年比0・3%増の1727万4250台だった。減税効果で消費が刺激される環境下だったが、前年比横ばいに留まり市場の成熟化を印象付けた。
日系メーカーでは商品展開でスポーツ多目的車(SUV)の比重が高いマツダ、三菱自動車、SUBARU(スバル)が前年比プラスとなったが、トヨタ自動車は横ばい、日産自動車、ホンダはマイナスだった。ホンダはメキシコの洪水で商品供給が滞ったことが響いた。
19年の新車市場は1700万台弱と見込む自動車メーカーが多い。一方、ゴールドマン・サックス証券は、19年は1640万台と見込む。金利上昇で車両の実質的な販売価格が上がり、新車需要に水を差すとみる。同社の湯沢康太マネージング・ディレクターは「収益性向上が自動車メーカーの重要な経営テーマになる」と指摘する。
またピックアップトラックやSUVを含む「ライトトラック」の人気が継続しており、「ライトトラックと、(セダンなどの)乗用車の需要をどうコントロールしていくかが課題」と八郷隆弘ホンダ社長は話す。
中国市場は28年ぶり前年割れ
一方、中国汽車工業協会によると18年の中国の新車販売台数は、前年比2・8%減の2808万600台と28年ぶりの前年割れとなった。17年に販売を押し上げた減税効果がなくなり、反動減が出た。また米中貿易摩擦により景気の先行き不安が高まり、市場成長に水を差したとみられる。
中国新車販売で日系メーカーではトヨタ、日産、三菱自は前年比プラスとなり過去最高を更新した。トヨタは高級ブランド「レクサス」も好調で2ケタ増と成長した。一方、ホンダ、マツダ、スバルは前年割れだった。ホンダは主力SUV「CR―V」が不具合で一時販売停止になったことが響いた。
中国政府は29日、旧型の排ガス規制対応車や、農村での小型車への買い替えを支援する補助金制度を発表した。ただ過去3回、補助金政策を実施しており、「刺激策があっても、その効果は徐々に薄れてきている」(湯沢マネージング・ディレクター)との指摘がある。19年は大崩れはしないものの停滞は続く可能性が高い。
米中貿易戦争が激化すればさらに景気を冷やしかねない。中国市場の中長期の成長ポテンシャルに期待する声が多いが杉本浩一三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリストは「景気が急激に悪化すれば、20年まで3年連続の前年割れというシナリオもあり得る」と警鐘を鳴らす。
日刊工業新聞2019年1月31日掲載