活躍の場広げるAIアナウンサーの実力

NHKが開発、ラジオで気象情報を発話

 NHKは人工知能(AI)を活用した音声合成により、ラジオで気象情報を発話するAIアナウンサーを開発した。山梨県を放送対象とする甲府放送局のラジオ気象情報で3月に実証する。AIアナウンサーは、NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)と連携して開発した。甲府放送局の過去3年分の気象情報から抜粋した文章などをNHKアナウンサーが読み上げ、AIに学習させた。

 AIが注意報や予報、雨量、風速など多様な気象データを話し言葉に変換する。文脈に合ったイントネーションや間の取り方、情報の取捨などNHKアナウンサーが持つ話術を再現できるか検証し、早期の実用化を目指す。山梨県は観光地として人気が高い富士山を有し、気象情報へのニーズが高いことなどから実証地域として選出した。AIアナウンサーは3月4―8日と、25―29日の3分間のコーナーで登場する。

 NHKはAIによる音声合成で発話する3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)のアナウンサー「ニュースのヨミ子」を地上波のニュースで起用している。NHKはこうしたAI活用がアナウンサーの働き方改革にもつながるとしている。

日刊工業新聞2019年1月29日



「ニュースの読み子」育成中 

日刊工業新聞2018年3月27日


 NHKは26日、人工知能(AI)による音声合成で発話するアナウンサーを開発したと発表した。4月から3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)の女性アナウンサーとしてニュース番組に登場する。NHKの地上波ニュースにAIアナウンサーが登場するのは初めて。

 開発したAIアナウンサーは「ニュースのヨミ子」。NHK放送技術研究所(東京都世田谷区)が開発した音声合成技術を活用した。NHKのアナウンス室の監修の下、長時間の音声収録を行って機械学習させた内容を発話する。

 将来は相手の言葉を認識し、自由に会話できるAIアナウンサーに成長させていく。ニュース速報を自動的に読み上げる体制の構築などを目指す。

 「ニュースのヨミ子」はNHKのニュース番組「ニュースチェック11」に登場する。4―5分のコーナーにおいてインターネット上で話題になったニュースなどを紹介する。

平昌五輪では実況で活躍 

日刊工業新聞2018年2月20日


  日本人選手のメダルラッシュに沸く平昌(ピョンチャン)冬季五輪。その舞台でNHKの新人アナウンサーが実況デビューを果たした。その名は「ロボット実況」。NHK放送技術研究所(放送技研、東京都世田谷区)が開発したその新人アナは、堂々たる声でアイスホッケーやカーリング、スケルトンなどの熱戦の模様を連日、伝えている。

 「カナダ、ジョンストン選手のシュート。ゴール!」―。アイスホッケー女子、カナダ対OAR(ロシア出身選手で構成されたチーム)の一戦でロボット実況の声が響いた。新人アナらしからぬ女性の落ち着いた声で2時間以上の試合中継を無事にこなした。

 ロボット実況は人工知能(AI)による音声合成技術などを活用して実現した。五輪期間中は国際オリンピック委員会(IOC)傘下で放送サービスを手がけるオリンピック放送機構(OBS)が試合経過の情報を記した競技データをリアルタイムで各国の放送事業者に配信する。

 放送技研はその競技データを基に、即座に自動で日本語の実況文章を作り、音声を合成して生中継の配信映像に合わせて流すシステムを構築した。実況内容は字幕でも付与できる。放送技研ヒューマンインターフェース研究部の岩城正和部長は「OBSから配信される膨大な競技データからアナウンサーとして話すべき内容を自動で判断して実況できる」と強調する。

 同システムは2016年のリオデジャネイロ五輪の全種目で内部実験を行っており、満を持してデビューした格好だ。23日まで毎日1競技程度実況する。ここまでの成果は上々で、NHKは「ライブ配信の映像に対してリアルタイムで実況を付与できている」と手応えを強調する。

 五輪は多数の種目が同時に行われる。インターネット配信を活用することで多くの競技を中継できるようになったものの、中継で肝心の実況は人手の問題で付けるのが困難だった。ロボット実況はその代替になる。特にNHKとしては試合状況を音声や字幕で伝えることで、視覚や聴覚に障がいのある人が多様な競技の生中継を楽しめる環境を整える目的がある。

 また、NHKは今回の配信について20年の東京五輪・パラリンピックでの活用に向けた試験と位置付ける。その意味では「配信される競技データが少ない種目は実況しない時間が多くなる」(NHK)という課題を確認した。このため今後は競技データ以外の情報の活用を模索し、内容の充実を図る考えだ。東京五輪・パラリンピックでは新人アナの成長した姿が期待できそうだ。

葭本 隆太

葭本 隆太
01月29日
この記事のファシリテーター

AIアナウンサーは2020年の東京五輪・パラリンピックでどの程度、活躍できるように進化するか注目しています。また、文中にもありますが、NHKはAIを含むICT技術の活用による働き方改革も推進しています。具体的には台風時などに河川の氾濫の可能性などを迅速に把握し、原稿を自動で作成するシステムの利用が地方局で17年夏に始まったと聞きました。地方局では台風発生時に河川の氾濫に関する迅速な報道が求められますが、地方局は人員が限られます。そこで水位の把握や原稿作成などの作業を後押しするといった具合です。メディアにおける働き方をICTが今後、どう変えていくのかも業界の中にいる1人として注目しています。

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