写真フィルムにカメラ…「変革の富士フイルム」次のカギはAI

助野健児富士フイルムHD社長「先手を打って生き残る」

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富士フィルム公式動画より
 ―中期経営計画の最終年度を迎えます。
 「低採算のプリンター事業を縮小するなど、収益力を上げるための構造改革の成果は出ている。さらなる成長に向け、バイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)などの投資も進んでいる。将来の柱に育てるための再生医療事業での買収といった種まきもしている」

 ―2018年10月に次世代人工知能(AI)の開発拠点「ブレインズ」を東京・丸の内に設けるなど、AIに関する取り組みを強化しています。
 「データサイエンティストやエンジニアを育てることが経営課題の一つ。アカデミアやユーザーの方の意見を聞く必要があると思い、ガヤガヤと知恵を出し合える(オープンイノベーションの)場を設けた。我々は医療や写真に関するデータを持っている。これをAIと組み合わせ、いかに世の中に便利なモノを提供できるかが肝になるのは間違いない。先手を打って生き残っていく。商品開発だけでなく、働き方に関しても、AIを活用することで、事務処理などから解放され、頭脳労働にシフトすることができる」

 ―M&A(合併・買収)の方針は。
 「単に利益を買いに行くM&Aはしない。CDMOなど我々の強みを生かすことができ、マーケティングなどのノウハウを組み合わせることで、『1+1』を3なり4なりにできるM&Aなら、積極的に手がけたい」

 ―米国の拠点に3年間で計100億円を設備投資し、半導体材料事業を強化します。
 「半導体は浮き沈みがある分野だが、我々が扱っているのは最先端の材料。AIなどが進展する中で、ダウントレンドになることはない。いろんな材料を提供できる仕組みは作っておきたい」

 ―インスタントカメラ「チェキ」の売れ行きが好調です。
 「デジタルカメラやスマートフォンなどで写真を撮るのに慣れている世代に、手書きでメッセージを入れるなどして楽しめる『世界で一枚の写真』は新鮮だったのだろう。写真の新たな楽しみ方を提供できるツールであり、一過性のブームで終わらせたくない。19年も新たな仕掛けを考えている」
(聞き手=江上佑美子)
             


【記者の目/挑戦続ける姿勢を内外に】
 18年秋にはブランディングキャンペーン「NEVER STOP」を始動し、挑戦を続ける姿勢を改めて内外に示した。研究開発における強化分野の一つに据えるのがAIだ。ブレインズには最高峰のスーパーコンピューターシステムを導入。大学などとの協業を加速し、新たな価値創造の切り札に見込んでいる。(江上佑美子)

関連記事:富士フイルムHDが日本一○○が多い長崎にAI拠点

日刊工業新聞2019年1月24日掲載

COMMENT

梶原洵子
編集局第二産業部
記者

昨年は米ゼロックスと富士ゼロックスの統合問題が続き、片付かないまま年を越しました。一方、AIの社会実装は各業界、富士フイルムのライバル企業でも進んでおり、今年は昨年よりも加速していきます。すでに同社は年明けから長崎でのAI拠点開設を発表していますが、今回のインタビューもAI関連への投資拡大をにおわせています。

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