「役に立たない」から世界で活躍、NECが誇る生体認証の“転機”

2020年の東京五輪・パラリンピックで採用

 生体認証といえば犯罪捜査が定番だが、端末へのログインや空港での出入国管理、イベントの入場管理へと広がりをみせている。一部の量販店がキャッシュレス決済に顔認証を用いるなど、生活に根ざした技術としての期待も高い。

 開発責任者の今岡仁バイオメトリクス研究所リサーチフェロー&ダイレクターは「今まさに変化点に立っている」と普及への手応えを強調する。

 同社の顔認証は2020年東京五輪・パラリンピックへの採用が決定している。競技会場で参加各国の選手やボランティアら約30万人の入退出を管理する。鈴木武志セーファーシティソリューション事業部マネージャーは「デジタル変革で世の中が便利になるが、デジタル世界では成りすましなどのリスクもあり、個人が信用できる世界がますます重要になる」と指摘する。その上で「東京五輪は当社の技術力を全世界にアピールする絶好の場」と力を込める。

 もちろん、現在に至る道は平たんではなかった。顔認証はかつて「役に立たない」と言われた時代もあった。そこで奮起し、米国国立標準技術研究所(NIST)の評価テストに挑み、「世界1位となったのが転機だった」と今岡氏は振り返る。

 認証精度を上げるために米ニューヨークに出向き、店舗の入り口で来店者に交渉して顔を撮影するなど地道な努力の積み重ねがあった。小糸達也マーケティング戦略本部マネージャーは「生体認証は70カ国で700システム以上を納入した。このグローバルでの実績が当社の強みだ」と胸を張る。今後もたたかれながら強くなっていく覚悟だ。
(文=斉藤実)

【製品プロフィル】現在は顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響の6分野が対象。顔認証と指紋認証はNISTの評価テストで世界1位の評価を複数回受け、虹彩認証も世界1位の照合精度の評価を受けた。認証の掛け合わせも妙味。例えば顔認証と虹彩認証を組み合わせれば、顔の大部分が隠れていても目さえ出ていれば認証できる。

  

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