焦る電線メーカー、“クルマ商機”を逃すな!

「CASE」対応にアクセル踏む

 電線各社が自動車関連事業の拡大に向けた戦略を加速している。需要が伸びるワイヤハーネス(組み電線)を増産するほか、電気自動車(EV)向けの新事業創出などに取り組む。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる自動車関連の新技術普及を背景に、各社は商機を逃すまいとアクセルを踏み込む。

 古河電気工業は21日、自動車のワイヤハーネスに使うアルミニウム電線を生産する工場をベトナム・ホーチミン市に新設すると正式に発表した。投資金額は約35億円。2020年9月に生産を始める。新工場の稼働でアルミ電線の生産能力を21年12月に現在の約4倍に高める。アルミ電線を使ったワイヤハーネスの売り上げは2倍となる700億円に引き上げる考え。

 阿部茂信執行役員は同日都内で開いた会見で「日系の自動車向けに21年から大型案件が決まっている」と増強の理由を説明した。新工場は2階建てで延べ床面積は約2万8000平方メートル。

 一般的に1台の車に搭載するワイヤハーネスは約20キロ―50キログラムで、銅電線が使われる。アルミ電線に置き換えると10―40%軽量化できるため、軽量なワイヤハーネスの受注が増えている。

 住友電気工業もアルミ製ワイヤハーネスなど自動車関連製品の拡販を目指している。同社は1台の車に採用されるワイヤハーネスのアルミ比率が、25年には足元の10%から60%程度まで増えると予想。17年にはタイ工場でアルミ電線の素材となるアルミ線材の生産を始めるなど生産体制を強化している。また、ワイヤハーネスと車体をつなぐ際などに使うコネクターのシェアも、22年度に17年度比3ポイント増となる25%に引き上げる考えだ。

 フジクラは、営業利益率が低いワイヤハーネス事業の収益改善を目標に掲げる。同事業に情報通信やエネルギー事業などの知見を組み合わせ、EV関連の新規事業創出を目指す。伊藤雅彦社長は「ワイヤハーネス事業の収益力の再生を進める。ワイヤハーネス以外の自動車部品やEVへの対応強化を進め、収益率の改善に努める」としている。

 昭和電線ホールディングスは26年度までに創出を目指している新事業の候補の一つが、EV・車載関連だ。長谷川隆代社長は進捗(しんちょく)について「自動車がある程度(成果が)出てきている」と手応えをつかむ。新事業には26年度までに累計50億円以上を投じ、38億円の粗利益獲得をもくろむ。オープンイノベーションや技術の協業・買収、M&A(合併・買収)も視野に入れ、事業拡大を画策する。
(文・福沢尚季)

日刊工業新聞2019年1月22日

  

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