“EV大量廃車時代”を見据える非鉄金属大手の備え

リチウム電池の再資源化加速

 非鉄金属大手各社が電気自動車(EV)などで使用済みとなったリチウムイオン二次電池(LIB)から有用金属を回収し、再資源化する取り組みを加速している。JX金属や三菱マテリアルは、2019年度に再資源化の実証事業の規模や内容を拡大する。住友金属鉱山はすでに事業化している銅やニッケルの回収に続き、コバルトの試験回収に乗り出す。将来の「EV大量廃車時代」を見据え、LIB再資源化の備えを怠りなく進める。

 JX金属はこれまで敦賀工場(福井県敦賀市)で使用済みLIBからリチウムなどのレアメタル(希少金属)を回収する技術の実証を進めてきた。今後は回収物を地金にする工程を省き、電池の正極材料として使える化合物の状態で取り出す技術の開発を強化する。「19年度中に事業基盤を確立したい」と同社の大井滋社長は話す。

 三菱マテリアルは4月をめどに、使用済みLIBからコバルトやニッケルを回収する実証試験を開始。20年度以降の事業化を視野に入れ、精製技術などの改良を進める。

 DOWAホールディングスは19年1月から秋田県大館市内で再資源化施設を稼働。使用済みLIBを同施設で鉄やアルミニウム、銅、コバルト・ニッケル混合物などに分け、製錬原料としてリサイクルする。

 各社が再資源化を加速する中、今後課題となりそうなのが使用済みLIBの回収だ。使用済み家電は回収網が確立され、「リサイクル工場に自然と物が集まる」(非鉄業界関係者)のに対し、車載用のLIBはそこまで仕組みが整っていない。

 またLIBは引火性の有機溶剤を含み、輸送時や保管時の安全対策も欠かせない。EV大量廃車時代に向けては、再資源化技術の確立とともに、回収・輸送・保管の体制整備も必要となりそうだ。

日刊工業新聞2019年1月22日

  

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