パナソニックの米EV電池工場「世界一」に。それでも拭えぬ不安

計画より約1年遅れ、テスラの運転資金に枯渇リスク

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18年末に3割増産するギガファクトリー
 パナソニックは2018年末に、米テスラと共同運営している米国ネバダ州の電池工場「ギガファクトリー」で、パナソニックが担う電池セルの生産能力を現在比3割超引き上げる。年産能力は35ギガワット時(ギガは10億)で、供給先はテスラの電気自動車(EV)「モデル3」。テスラの生産トラブルが17年秋から続いていたが、解消に向かいつつある。このため電池セル生産設備を拡張する。計画より約1年遅れ、世界最大の電池工場が実現する。

 パナソニックはテスラが週5000台超を目指すモデル3の生産に対応できるよう、リチウムイオン二次電池向けのセル生産ラインを3本追加し、計13ラインとする。最新設備の新ラインは、既存ラインより2―3割生産性が高まる。ギガファクトリーの総投資額は50億ドル(約5500億円)。パナソニックは3割程度を負担しているとみられる。同社は電池の川上工程のセル生産を、テスラは川下の組み立てをそれぞれ担当している。

 モデル3は、17年夏までの事前予約が50万台に達した人気車種。だが、テスラは完全自動化を目指した生産工程の立ち上げに苦戦し、18年5月までの生産量は週3000台未満。連動して電池ラインの稼働率も低迷し、パナソニックの経営の重しになっていた。

 テスラは6月末にモデル3の生産を急速に増やし、一時的に週5000台を達成。パナソニックは家庭用蓄電池向けなどのセルをモデル3向けに急きょ転換するなどの対応を迫られた。

 そこで、モデル3が安定的に週5000台超生産されても対応できるよう、セル生産能力を当初計画の年35ギガワット時に増やす。

 テスラはモデル3を週1万台生産する構想を持つ。ギガファクトリーもさらに拡張し、年産能力を50ギガワット時とする必要がある。現状はテスラの運転資金が枯渇しつつあり、実現するかは不透明だ。

日刊工業新聞2018年7月31日

COMMENT

パナソニックの梅田博和取締役常務執行役員は31日に都内で開いた決算会見で、テスラ向け車載電池事業について「リスクではなく、(需要を満たすだけ大量に)作れるかのチャレンジだととらえている」と話した。テスラのEV「モデル3」の生産遅延により、米国の電池新工場の稼働率が低迷。業績の足かせとなっていた。「今(テスラに)納入すれば、全て(モデル3に)入る」と述べ、モデル3の生産が軌道に乗ってきたことを示した。 (日刊工業新聞大阪支社・平岡乾)

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